「Wi-Fiが遅いから、とりあえずアクセスポイントを追加しておこう」
これ、正直めちゃくちゃ多いです。
でもですね。AP(アクセスポイント)を増やしたのに、むしろ遅くなった。会議中にZoomが止まる。クラウド会計が固まる。営業が「またですか?」とイラつく。
社長としては、地味に胃が痛くなりますよね。
- APを増設したのに体感速度が変わらない
- 特定の場所だけ異様に遅い
- 昼休み後に一気に重くなる
- 接続はできるのに、通信が安定しない
- なぜかスマホのほうがパソコンより速い
- 業者に聞くと「機器は問題ない」と言われる
もし1つでも当てはまるなら、それは「回線が遅い」のではなく、電波がぶつかり合っている可能性が高いです。
この記事では、APを増やしても速度が上がらない本当の理由と、社長が明日確認できる具体的な改善ポイントを整理します。
なぜAPを増やすと逆に遅くなるのか

電波は「水道の蛇口」ではない
よくある誤解がこれです。「蛇口を増やせば水はたくさん出る」理論。
Wi-Fiは水道と違って、空間に広がる電波を共有しています。同じ周波数という“通路”を取り合っている状態なんです。
APを増やすと、その通路に同時に話しかける人が増える。結果、譲り合いが発生し、待ち時間が増えます。
現場では、APを3台から6台に増やしたら、速度が半分になったケースもありました。原因は「近すぎる設置」。
電波同士がぶつかる「干渉」という現象
干渉とは、同じチャンネル(通信の通路)を複数のAPが使うことで、お互いの通信を邪魔してしまうことです。
特に2.4GHz帯は、ほぼ3つしか重ならない通路がありません。4台以上置けば、どこかで必ずぶつかります。
社長が誤解しやすいのは、「SSIDが違えば大丈夫」という点。名前が違っても、通路が同じなら衝突します。
マンションの隣の会社のWi-Fiとぶつかっていることも、普通にあります。
APは“増やせば速くなる機械”ではありません。配置と設定が9割です。
素人設置でよくある3つのミス
全部同じ設定のまま並べる
業者に頼まず、量販店で買ってきてそのまま接続。これ自体は悪くないです。
問題は「全部初期設定のまま」。同じチャンネル、同じ出力、同じ幅で運用していること。
結果、AP同士が真正面からぶつかります。
社長が知らないだけで、実は社内で“電波渋滞”が起きている状態です。
出力を最大にしてしまう
「強くすれば遠くまで届くでしょ?」という発想。
確かに届きます。でも、隣のAPのエリアまで侵食します。
すると端末がどのAPにつながるべきか迷い、切り替えが遅れます。
結果、「歩くと切れるWi-Fi」が完成します。
天井裏・床置き・金属棚の横
これ、本当に多いです。
電波は金属・コンクリート・水に弱いです。
天井裏のダクト横、スチール棚の真横、コピー機の裏。全部、減衰ポイントです。
「見えないからいいや」は、だいたい失敗します。

法人Wi-Fiで起きやすい特有の問題

昼休みのスマホ集中接続
従業員30名の会社で、昼に一斉にスマホ接続。これだけで60台近くになります。
APが2台だと、単純に1台あたり30台以上。
業務用としては、やや過密です。
「業務に支障ないから大丈夫」は危険で、バックアップやクラウド同期が遅延します。
会議室だけ極端に重い
会議室にAPを置いていない、または逆に置きすぎている。
オンライン会議は通信量が多く、しかも同時接続が発生します。
APが遠いと弱く、近すぎると干渉。
設計されていないWi-Fiは、会議で必ずボロが出ます。
古いルーターがボトルネック
APだけ新しくして、親機は5年前のまま。
これ、実はかなり多いです。
道路を6車線に広げても、料金所が1レーンなら詰まります。
全体構成を見ない増設は、効果が出ません。
AP単体ではなく「全体の流れ」で考えるのが法人Wi-Fiの基本です。

改善できる会社と悪化する会社の違い
| 悪化する会社 | 改善する会社 |
|---|---|
| 遅い→即増設 | まず電波状況を測定 |
| 全部同じ設定 | チャンネルを分散 |
| 出力最大固定 | エリアごとに調整 |
| 設置は空いている場所 | 業務動線を基準に配置 |
| 親機は放置 | ルーター性能も確認 |
社長が明日やるべき具体チェック

APの台数と設置位置を紙に書く
まずは現状把握です。
何台あるのか、どこに置いているのか。
意外と把握していないケースが多いです。
図にするだけで「近すぎる」が見えます。
同じ型番・同じ設定か確認する
管理画面に入れるかどうか確認。
チャンネルが自動のままなら、固定にすべきケースもあります。
ただし自己流固定は危険なので、最低限「重なっていないか」だけチェック。
わからなければ、スクショを専門家に見せるだけでも違います。
社員にヒアリングする
「どこで遅い?」と聞くだけでいいです。
現場は正直です。
トイレ前、倉庫、会議室入口。だいたい偏ります。
そこが干渉ポイントです。
- APの位置を書き出す
- 型番と年式を確認
- 親機の年数を調べる
- 遅い場所をヒアリング
- 隣の会社のWi-Fi数を確認
ここまでやれば、「闇雲な増設」は止まります。
それでも判断に迷ったら
測定なしの改善はギャンブル
正直に言います。Wi-Fiは感覚では直りません。
電波測定という作業があります。
どこが強く、どこが重なり、どこが弱いのかを“見える化”します。
これをやらずに増設するのは、目隠しで家具を動かすようなものです。
製品選びは「最大速度」ではない
箱に書いてある「○○Gbps」は理論値です。
社長が見るべきは、同時接続台数と法人向け管理機能。
家庭用高性能モデルより、法人向け安定機のほうが結果的に速いことも多いです。
価格だけで選ぶと、結局二度買いになります。
まとめ:増設の前に「整理」

Wi-Fiが遅いと、社員は黙ってストレスを溜めます。
社長だけが「なんか不満そうだな」と感じる構図。
でも原因は、だいたいシンプルです。
増やしすぎ、近すぎ、強すぎ。
明日やるべきことは1つ。
APの位置を書き出すこと。
これだけで、改善の半分は見えます。

