「社長、ちょっと…変なメールを開いてしまいました」
この一言を聞いた瞬間、頭が真っ白になる社長は少なくありません。
ウイルスに感染したのか、情報が盗まれたのか、取引先に迷惑がかかるのか。ITに詳しくないほど、最悪の事態ばかりが頭をよぎります。
しかし、ここで一番危険なのは「様子を見よう」「詳しい人が来てから考えよう」と何もしない時間です。不審なメールの被害は、最初の15分で広がるか、止まるかが決まります。
社長が今すぐ取るべき行動は、専門知識ではなく「物理的な操作」です。
この記事では、社長が15分以内に実行すべき「4つの緊急操作」と、被害を最小限に抑える判断基準を整理します。
まず理解すべき前提:社長の判断が被害規模を決める

「社員のミス」ではなく「会社のリスク」として捉える
不審なメールを開いた社員を責めても、状況は一切改善しません。むしろ報告をためらわせ、被害を拡大させる原因になります。
これは社員個人の問題ではなく、会社全体のリスク管理の問題です。社長が冷静に指示を出せるかどうかが、その後の被害額や信用に直結します。
専門用語は一切不要。判断軸は「止める・切る・変える」
ウイルスの種類や仕組みを理解する必要はありません。重要なのは「これ以上広げない」「外とつながせない」「情報を守る」の3点です。
この後に解説する対応は、LANケーブルを抜く、電源を切る、パスワードを変えるといった誰でもできる操作だけです。
結論:この時点で社長がやるべきことは、原因追及ではなく被害を止める判断です。
【緊急操作①】該当パソコンをネットワークから切り離す
最優先はLANケーブルを抜く
最初にやるべきことは、該当パソコンを社内ネットワークやインターネットから切り離すことです。
デスクトップパソコンの場合は、背面に刺さっているLANケーブルを抜いてください。Wi-Fiの場合は、Wi-Fiをオフにします。
「後で確認しよう」は厳禁です。まずは物理的に通信を遮断してください。
電源は切らず「通信だけ」を止める理由
慌てて電源を切りたくなりますが、まずは通信遮断が優先です。通信が続いていると、社内の他のパソコンやサーバーに被害が広がる可能性があります。
電源オフは次の判断で行います。
【緊急操作②】社内全体に「操作停止」を指示する
全社員に今すぐ伝えるべき一文
被害が1台で終わるかどうかは、社内への一斉指示で決まります。以下の内容を、口頭でもチャットでも構いませんので即時共有してください。
「不審なメールが確認されました。心当たりがある場合も含め、全員パソコン操作を一旦止めてください。指示があるまでメールを開かないでください。」
「自分は大丈夫」が二次被害を生む
社員は「自分は開いていないから関係ない」と判断しがちです。しかし、同じメールが複数人に届いているケースは非常に多くあります。
社長の立場で全体停止をかけることで、被害拡大を防げます。
結論:1人の問題を「全社対応」に切り替える決断が重要です。
【緊急操作③】パスワード変更の対象を切り分ける
まず変えるべきは「メールのパスワード」
不審なメールを開いた場合、最も狙われやすいのはメールアカウントです。
該当社員のメールパスワードは、別の安全な端末から変更させてください。開いてしまったパソコンからの操作は避けます。
影響範囲を見極める簡易チェック
以下の表で、どこまで対応すべきかを判断してください。
| 状況 | 社長の判断 |
|---|---|
| 添付ファイルを開いていない | メールパスワード変更を優先 |
| 添付ファイルを開いた | メール+社内システムの確認 |
| ID・パスワードを入力した | 全社的なパスワード変更検討 |
「入力したかどうか」を必ず本人に確認してください。
【緊急操作④】復旧作業は専門家に任せる
社内対応で解決しようとしない
通信遮断と初動対応が終わったら、これ以上社内で触らないことが重要です。
自己判断で操作を続けると、証拠が消えたり被害状況が分からなくなることがあります。
相談先がない会社ほど被害が長期化する
中小企業では「どこに相談すればいいか分からない」ことが最大のリスクです。
セキュリティの無料診断や、第三者のチェックを早めに受けることで、無駄な不安と時間を減らせます。
被害が小さく見えても、専門家の確認を受けることで再発防止につながります。
結論:初動後は「触らない・抱え込まない」が鉄則です。
社長が覚えておくべき判断基準まとめ

15分以内にやることは4つだけ
本記事の内容を整理すると、社長がやるべきことは次の4点に集約されます。
- 該当パソコンの通信を遮断する
- 社内全体の操作を止める
- パスワード変更の範囲を判断する
- 専門家に引き継ぐ
「何も起きていなかった」は結果論
結果的に被害がなかったとしても、初動対応を取った判断は間違いではありません。
むしろ「何も起きなかったから良かった」ではなく、「起きないように止めた」と考えるべきです。
社長の冷静な初動が、会社と社員、取引先を守ります。

