正直な話、ここ数年で一番「社長の胃がキリキリする」相談が、電帳法です。
「請求書?PDFでNASに入れてますよ」「税理士さんに聞いたら“保存してあれば大丈夫”って言われました」──ここまで聞くと、私は一瞬ヒヤッとします。
なぜかというと、税務調査で問題になるのは保存しているかどうかではなく、“すぐ探せるか・すぐ出せるか”だからです。
- PDFは全部NASに入っているが、フォルダが年別だけ
- ファイル名は「scan_001.pdf」みたいな謎ルール
- 誰が・いつ・どうやって保存したか決まっていない
- 経理が休んだら、誰も探せない
- 税務署から「この取引出してください」と言われたら固まる
これ、全部「あるある」です。うちだけじゃありません。
この記事では「電帳法で本当に見られるポイント」と「社長が今日から決めるべき運用ルール」を、売り込みなしで整理します。
電帳法で一番誤解されている「保存していればOK」という話

なぜこの誤解が広がったのか
電帳法という言葉が一人歩きして、「電子で保存=OK」と短く伝わったのが原因です。実際は、法律の条文がかなり細かく、現場に落とすと一筋縄ではいきません。
特に中小企業では、税理士・会計ソフト・複合機メーカーから断片的な情報だけが入ってきます。その結果、「とりあえずNAS」が最適解だと思い込んでしまうんです。
放置するとどうなるか
税務調査の場で「この取引の請求書を見せてください」と言われた瞬間、空気が変わります。探すのに10分、20分かかると、それだけで心証は悪くなります。
最悪の場合、「検索要件を満たしていない」と判断され、電子保存そのものが否認されるケースもあります。
社長が誤解しやすいポイント
「データは全部あるから問題ない」という安心感です。ですが、電帳法は第三者が見ても探せる状態を求めています。
社長の頭の中のルールは、法律的には存在しないのと同じです。
現場でよくある事例
経理担当が独自ルールでファイル名を付けていて、本人しか分からない。退職や休職で、一気にブラックボックス化します。
「保存している」だけでは評価されません。評価されるのは「誰でも探せる仕組み」です。
電帳法で本当に重要なのは「検索機能」
検索機能とは何を指すのか
難しいIT機能ではありません。電帳法で求められるのは、主に「日付」「金額」「取引先」で探せることです。
Googleみたいな全文検索を想像する社長もいますが、そこまでではありません。
なぜ検索が必要なのか
税務調査は、こちらの都合を待ってくれません。「今、出してください」が前提です。
その場で出せる=管理できている、という評価につながります。
誤解されがちなポイント
「ファイル名に日付が入っているからOK」と思われがちですが、それだけでは不十分な場合があります。
検索条件を組み合わせて探せることが重要です。
現場でよくある事例
NAS内をエクスプローラーで開き、目視で探し始める。これ、ほぼアウトです。
NAS保存が危ないと言われる理由

NAS自体が悪いわけではない
誤解してほしくないのですが、NASがダメなわけではありません。問題は「運用」です。
ルールなしNASは、ただの巨大な引き出しです。
放置するとどうなるか
データは増え続け、探す時間も比例して増えます。結果、誰も触らない倉庫になります。
社長が誤解しやすい点
「サーバーに入ってる=安心」という感覚です。ですが、調査官は中身と運用しか見ません。
現場あるある
「このフォルダは触らないで」と言われて、全員が距離を取る。結果、更新されない。
最低限、社長が決めるべき運用ルール
誰が保存するのか
経理だけに丸投げすると、属人化します。役割分担を決めましょう。
いつ保存するのか
月末まとめて、は危険です。発生ベースで保存するのが基本です。
どういう名前で保存するのか
日付・取引先・金額。この順で統一するだけで、世界が変わります。
現場での実例
「2024-04-15_○○商事_110,000円.pdf」これだけで探せます。
一目で分かる「安全な運用」と「危ない運用」
| 安全 | 危ない |
|---|---|
| 検索条件が決まっている | フォルダを目で探す |
| 命名ルールが統一 | 人によってバラバラ |
| 誰でも操作できる | 担当者しか分からない |
まとめ:社長が明日やるべき一歩

今日やることは、システム導入ではありません。
「どう探すか」「どう保存するか」を紙に書いて決める。それだけです。
電帳法はITの話じゃない。社長の“決め事”の話です。

