社長、ちょっと想像してみてください。
朝出社したら、サーバーが置いてある部屋が水浸し。もしくは地震で棚が倒れて、NASが床に落ちている。電源は入らない。いつもの共有フォルダが開けない。
その瞬間、社内チャットが止まり、見積データが開けず、請求書が出せず、顧客から「資料まだですか?」の電話が鳴る。
正直、胃がキュッとしますよね。
- NASは入れているけど、バックアップは“なんとなく設定済み”
- クラウドにも保存しているが、復旧手順は誰も説明できない
- 停電や水害を具体的に想定したことはない
- 「RAIDだから大丈夫」と言われたまま信じている
- 復旧にどれくらい時間がかかるか、誰も答えられない
- 担当者がいなくなったら設定が分からない
これ、どれか1つでも当てはまるなら、今の設計は“復旧できるかどうか分からない状態”です。
NAS障害や災害が起きても、1時間以内に業務を再開できる設計にする。その具体策を、今日から動けるレベルまで落とし込みます。
なぜ「NASがある=安全」だと勘違いしてしまうのか

RAIDはバックアップではないという現実
まず一番多い誤解がこれです。「RAID組んでますよ」と言われて安心してしまうパターン。
RAIDというのは、ハードディスクが1台壊れても動き続けられる仕組みです。簡単に言うと“予備タイヤがある状態”。
でも、火事で車ごと燃えたらどうなりますか?予備タイヤも一緒に燃えますよね。
NASごと壊れたら、RAIDも一緒に消えます。ここを誤解している会社、ものすごく多いです。
「クラウドに同期しているから大丈夫」という落とし穴
GoogleドライブやDropboxと同期している会社もあります。
ただし、削除したファイルも“同期”されます。ウイルスで暗号化されたファイルも、ちゃんと同期されます。
つまり「壊れた状態をそのままコピーする」可能性がある。
これ、実際に現場で何度も見ています。社長は「クラウドにあるでしょ?」と言う。でも中身は全部壊れている。
NASは“保管場所”。バックアップは“別の場所に、別の時間軸で残すこと”。ここを分けて考えるのが出発点です。
1時間復旧を決めるのは「設計の考え方」
復旧時間を決めていない会社は、必ず長引く
「どれくらいで戻したいですか?」と聞くと、多くの社長は「できればすぐ」と言います。
でも“すぐ”は設計できません。
1時間なのか、半日なのか、3日なのか。ここを決めないと、機器選びも予算も決まりません。
復旧時間を決めない会社は、トラブル時に必ず揉めます。
全部を1時間で戻す必要はない
ここでよくある誤解が「全部守らないといけない」という思い込み。
実際は、止まると困るデータと、数日止まってもいいデータがあります。
会計データ、顧客データ、進行中案件。ここが優先。
昔の写真や過去のPDFまで1時間復旧に含める必要はありません。
| 設計が甘い会社 | 1時間復旧設計の会社 |
|---|---|
| 全部まとめてバックアップ | 重要データを優先分離 |
| 復旧時間は未定 | 「1時間以内」と明文化 |
| 担当者任せ | 手順書あり・誰でも復旧可 |
| 同じ建物内に保管 | 別拠点・クラウドにも保存 |
復旧時間を決めずに機器を選ぶのは、地図なしで山に入るのと同じです。
1時間復旧を可能にするバックアップ構成

原則は「3つのコピー」
最低限必要なのは、データを3か所に置くことです。
①NAS本体、②別の機器、③建物の外。
同じ部屋に2台置いても、火事になれば一緒に終わります。
“物理的に離す”という発想が重要です。
自動化しないバックアップは、必ず止まる
「毎週USBを差し替えています」これは危険信号です。
忙しい週は忘れます。担当者が辞めたら止まります。
手動運用は、必ずどこかで破綻します。
バックアップは“放っておいても回る仕組み”でないと意味がありません。
災害時に本当に起きる“現場の混乱”
誰も復旧手順を知らない
マニュアルがない会社は、本当に多いです。
設定した業者に電話がつながらない。担当者が出張中。
その間、社員は「何もできない状態」で待つだけ。
これ、売上よりも信用が削られます。
復旧テストをしていない
バックアップは取っている。でも戻したことがない。
いざ復元しようとしたらエラー。容量不足。バージョン不一致。
正直、テストしていないバックアップは“お守り”です。
本番で初めて試すのは、怖すぎます。
年1回でいいので「戻す練習」をしてください。これだけで復旧時間は半分以下になります。
社長が明日やるべき具体行動

今の復旧時間を聞いてみる
まずは担当者か業者に聞いてください。
「NASが完全に壊れたら、何時間で戻せる?」と。
即答できなければ、設計は曖昧です。
データの優先順位を決める
紙に書き出しましょう。
止まると売上が止まるものは何か。法的に困るものは何か。
ここを整理しないと、全部が“なんとなく重要”になります。
- 顧客管理データ
- 会計・請求データ
- 進行中案件資料
- メール履歴
- 勤怠データ
外部保管があるか確認する
建物の外にコピーがありますか?
同じフロアの別棚は“外”ではありません。
ここが分水嶺です。
復旧時間を明確化→重要データ分離→三層バックアップ確認。この3ステップだけでも会社の耐久力は一段上がります。
最後に、少しだけ本音を

社長、災害や故障は“いつか”ではなく“そのうち”来ます。
でも、怖がる必要はありません。設計すればいいだけです。
高額な機器を買う前に、まず考え方を整理すること。
もし「うちの構成、正直よく分からない」と感じたら、無料診断を使ってください。売り込みはしません。図にして一緒に整理するだけです。
明日やることはシンプルです。担当者に「復旧何時間?」と聞く。それだけ。
会社を守るのは“機械”ではなく、“社長が決めた設計”です。後回しにしないでください。

