「月額1万円なら安いな。これで安心か」
正直、この一言からトラブルが始まるケースを、現場で何度も見てきました。導入後に追加請求が来て顔が青くなる社長、想定外の工事で業務が止まりそうになる会社。どれも珍しい話ではありません。
UTMの見積書で、社長がよく感じているモヤモヤは、だいたいこの辺です。
- 月額は安いのに、初回請求がやけに高い
- 「工事費一式」と書いてあって中身が分からない
- 設定費が何をやっているのか説明されていない
- リースにしたら総額が見えなくなった
- 後から「これは別料金です」と言われそうで不安
どれも「契約前に気づけたはず」のポイントです。逆に言うと、見積書の見方さえ押さえれば、防げる地雷でもあります。
この記事では、UTM見積書で社長が最初にチェックすべき項目を整理し、「その契約、本当に妥当か」を自分で判断できる状態をゴールにします。
「月額料金」だけで判断すると、ほぼ確実にズレる

なぜ月額だけが強調されるのか
営業資料や口頭説明では、ほぼ必ず「月額〇〇円」という数字が前に出てきます。理由はシンプルで、社長が一番イメージしやすいからです。逆に、初期費用や工事費は、話すと説明が長くなるので後回しにされがちです。
ここで社長が「まあ細かいことはいいか」と流すと、後で帳尻合わせが来ます。月額が安い=総額も安い、ではないのがUTMの怖いところです。
放置するとどうなるか
初回請求で数十万円が一気に引き落とされ、「聞いてない」と感じる事態になります。社内からも「なんでこんなに高いの?」と突っ込まれ、営業との関係も気まずくなります。
最悪なのは、その時点で引き返せないケースです。工事済み、設定済みで、解約すると違約金。胃が痛くなる瞬間です。
社長が誤解しやすい点
「月額=全部込み」と思ってしまうこと。実際は、月額は“維持費”で、導入費用は別腹という考え方が多いです。ここを知らないまま進むと、感覚と請求額がズレます。
現場でよくある事例
月額8,000円で安心して契約したら、初期費用が25万円。社長は「聞いてない」と言い、営業は「見積に書いてあります」。どちらも嘘はついていない、でも不幸なすれ違いです。
月額料金は「ランニングコスト」。初期費用・工事費は必ず別枠で見る、が基本です。
「初期費用一式」という言葉に安心しない
なぜ「一式」と書かれるのか
初期費用の中身は、実はかなりバラバラです。機器設定、ネットワーク調整、現地作業、事前テスト。全部細かく書くと表が長くなるため、「一式」でまとめられがちです。
放置するとどうなるか
後から「これは含まれていません」と追加費用が発生します。社長としては一式と書いてある以上、全部込みだと思うのが普通です。ここで揉めます。
社長が誤解しやすい点
「一式=全部やってくれる」という思い込み。実際は「最低限の範囲」という意味で使われていることもあります。
現場でよくある事例
初期費用一式20万円。設置後に「VPN設定は別です」「社内LAN調整は対象外です」と言われ、結局+10万円。社長は納得できず、関係が冷え込みます。
「一式」の中身は、必ず口頭で分解して説明してもらう。これだけでトラブルは激減します。
工事費は「何をする工事か」を見る

なぜ工事費が発生するのか
UTMは箱を置くだけでは動きません。配線、ネットワーク接続、場合によってはルーターや回線の調整が必要です。これが工事費として請求されます。
放置するとどうなるか
工事当日に「追加作業が必要です」と言われ、現場で即決を迫られます。社長不在、担当者判断でOKを出し、後で請求を見て驚くパターンです。
社長が誤解しやすい点
「工事=設置だけ」と思ってしまうこと。実際は、社内ネットワーク全体に手を入れるケースもあります。
現場でよくある事例
工事費5万円と聞いていたのに、当日「配線が足りない」「機器追加が必要」で最終的に12万円。作業自体は必要だったが、事前説明が足りなかったケースです。
設定費は「誰の手間か」を考える
設定費の正体
設定費とは、UTMを会社の環境に合わせる作業の対価です。通信ルールを決めたり、危険な通信を止めたり、地味だけど重要な作業です。
放置するとどうなるか
設定が甘く、守れているつもりで穴だらけ、という状態になります。トラブルが起きた時に「設定は最低限でした」と言われると、もう遅いです。
社長が誤解しやすい点
「初期設定なんて簡単でしょ」という感覚。実際は、会社ごとに最適解が違い、経験が出る部分です。
現場でよくある事例
設定費を削って導入した結果、業務システムの通信が止まり、現場が混乱。「安くしたつもりが高くついた」と後悔する社長もいます。
設定費は削る対象ではなく、内容を確認する対象です。
リース・分割払いで総額が見えなくなる

なぜリースが提案されるのか
初期負担を軽く見せるためです。月額にまとめると、心理的ハードルが下がります。
放置するとどうなるか
3年、5年で見た総額が、買い切りより高くなっていることに後で気づきます。途中解約も難しいです。
社長が誤解しやすい点
「リース=お得」という思い込み。実際は資金繰り優先か、総額優先かの選択です。
現場でよくある事例
月額1万円×60か月=60万円。機器価格を聞いたら30万円だった、というケース。数字を並べると一目瞭然です。
| 見方 | 安心 | 注意 |
|---|---|---|
| 月額のみ | 初期負担が軽い | 総額が見えない |
| 総額表示 | 判断しやすい | 初期が重く見える |
リースでも「総額はいくらか」を必ず聞く。それだけで判断軸が戻ります。
見積書は「質問するための資料」
なぜ質問していいのか
見積書は契約書ではありません。分からない点を潰すための材料です。遠慮はいりません。
放置するとどうなるか
「聞かなかった自分が悪い」という状態になります。後悔はいつも契約後です。
社長が誤解しやすい点
「細かく聞うと嫌がられるのでは」という不安。実際は、ちゃんと答えられない会社の方が危険です。
現場でよくある事例
質問に丁寧に答えてくれた会社ほど、導入後のトラブルが少ない。これは体感レベルで断言できます。
まとめ:社長が明日やるべき一歩

明日やることはシンプルです。
- 見積書を開く
- 初期費用・工事費・設定費を丸で囲む
- 「これは何の作業か?」と一つずつ聞く
- 総額はいくらかを書き出す
これだけで、UTM導入の失敗確率は一気に下がります。知らないまま契約するのが一番危ない。
分からないまま進めるのは「任せる」ではなく「丸投げ」です。社長の仕事は判断すること。その材料は、ちゃんと揃えましょう。

