VPN同時接続数「5人まで」のルーターで10人接続するとどうなる?繋がらない原因と優先順位設定の考え方

「VPN利用者は現在5人程度だから問題ないと思っていた」

実際には、この考え方でVPN障害が発生する企業は少なくありません。

テレワークが定着すると、営業担当、管理職、経理担当、外出先の社員などが同じ時間帯にVPNを利用します。普段は問題なくても、月末や朝の始業時間帯だけ急にVPNへ接続できなくなるケースがあります。

VPNが停止すると

  • 社内サーバーへアクセスできない
  • 基幹システムが使えない
  • 共有フォルダへ入れない

場合によっては顧客対応の遅延や受発注停止につながり、信用問題へ発展することもあります。

この記事では、VPN同時接続数不足で発生するトラブルの実態と、接続制限時の優先順位設定、買い替え判断、見積もり確認ポイントまで解説します。

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目次

VPN同時接続数とは何か

VPNの相関図
Vpn concept on dark background

接続人数ではなく同時利用人数のこと

VPNの同時接続数とは、その瞬間に接続できる最大人数を意味します。

例えば同時接続数5人の機器であれば、登録ユーザーが50人いても同時に利用できるのは5人までです。

誤解しやすいのは、「社員数」と「同時接続数」を混同してしまう点です。社員20名でも同時利用が10名なら、5人対応機器では不足する可能性があります。

特に朝の始業時間や月末処理のタイミングで集中しやすくなります。

接続上限を超えると何が起きるのか

上限到達後は新規接続が拒否されるケースが一般的です。

利用者側には認証エラーや接続失敗として表示され、現場では「VPN故障」と誤認されることが多くあります。

実際には機器故障ではなく、単純な接続数不足だったというケースも珍しくありません。

VPN障害と思われる事象でも、実際は同時接続数不足が原因のケースは少なくありません。

5人用ルーターに10人接続するとどうなるのか

VPNルーターの「同時接続数5人」は、5人までしか利用できないという意味です。しかし実際の現場では、6人目が接続した瞬間に必ず障害が発生するわけではありません。

そのため、「今まで問題なかったから大丈夫」と判断してしまう企業が少なくありません。しかし、この考え方が後々大きなトラブルにつながることがあります。

最初は問題なく運用できてしまう

同時接続数不足が厄介なのは、導入直後には問題が見えにくいことです。

例えば10人の社員がVPNアカウントを持っていても、常時10人が接続しているわけではありません。

利用タイミングが分散していれば、5人用ルーターでも運用できてしまいます。

そのため導入当初は「十分な性能だった」と判断されることが多くあります。

限界を迎えるタイミング

  • テレワーク利用者が増えた
  • 営業担当がVPNを使うようになった
  • 経理担当が在宅勤務を始めた
  • クラウド移行途中で社内サーバー利用が残っている
  • 拠点追加によりVPN利用者が増加した

実際には機器が壊れたわけではなく、利用人数の増加によって設計上の限界が露呈しているだけというケースが多くあります。

特定時間帯だけVPNへ接続できなくなる

同時接続数不足で最も多い相談が、「たまにVPNへ接続できない」という症状です。特に朝の始業時間帯や昼休み明けは接続が集中します。

VPN同時接続数5人の機器で既に5人が利用している場合、6人目以降は接続できません。利用者からするとランダムに発生しているように見えるため、原因の特定が非常に難しくなります。

時間帯発生しやすい状況現場で起きること
8:30〜9:30始業直後接続エラーが急増
12:50〜13:30昼休み後再接続が集中
月末・月初経理業務集中業務停止リスク増加
悪天候時在宅勤務者増加同時接続数超過

情シス担当がいない企業では、原因が分からず以下のような対応が繰り返されます。

  • 回線業者へ問い合わせる
  • PC故障を疑う
  • VPN設定を再作成する
  • ルーター再起動を繰り返す

結果として半日以上業務が止まるケースもあります。

UTM利用時はカタログ通りの性能が出ないことがある

さらに注意したいのがUTMを利用している環境です。UTMはVPN専用機ではありません。

ウイルス対策、Webフィルタリング、不正侵入検知、アプリケーション制御など複数の処理を同時に実行しています。

そのため、カタログ上は十分な性能に見えても、実際の運用環境では性能が大きく低下することがあります。

状態VPN性能への影響
VPNのみ利用カタログ性能に近い
ウイルス対策有効処理能力低下
Webフィルタリング有効さらに負荷増加
複数セキュリティ機能有効VPN速度低下や切断発生

現場では「回線速度が遅い」という相談の原因が、実はUTMのCPU使用率100%だったというケースもあります。

「5人対応」と「10人運用できる」は別問題

業者の提案資料に「VPN同時接続5ユーザー対応」と記載されていても、それだけで安心はできません。

重要なのは現在の利用人数ではなく、将来の利用人数です。

特に中小企業では、導入から5年間同じ機器を使い続けるケースが一般的です。

実際には余裕を持った設計の方が結果的に安くなることが多くあります。

考え方結果
現在5人だから5人用数年後に買い替え
現在5人だから10〜20人用長期間利用可能

VPN機器は導入後に設定変更や再構築が発生すると、機器代以上に作業費がかかることがあります。

そのため、目先の本体価格だけで判断するのではなく、3〜5年後の利用人数まで見据えて設計することが重要です。

VPN同時接続数不足は、導入直後ではなく利用者が増えた数年後に発覚するケースが非常に多くあります。「今使えているか」ではなく、「3年後に何人が接続するか」で機器を選定する方が失敗を防ぎやすくなります。

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VPN接続の優先順位設定は必要か

接続優先順位設定

VPN同時接続数が不足している環境では、「誰から順番に接続させるか」を決めておかないと、業務への影響が大きくなります。

全員平等に接続させると、業務停止につながることがある

VPNの接続枠が十分にある企業であれば、全員が自由に接続しても大きな問題は起きません。しかし、同時接続数が5人や10人に限られている環境では、全員平等がかえって危険になる場合があります。

接続ルール起きやすい問題現場への影響
先着順重要業務の担当者が入れない月次処理・承認・顧客対応が止まる
全員常時接続不要な接続で枠を消費する接続不足が慢性化する
部署ごとに曖昧に運用誰を優先すべきか揉める総務や管理者に問い合わせが集中する
業務影響度で優先必要な人が接続しやすい最低限の業務停止を防ぎやすい

優先すべき利用者は「役職」ではなく「止まる業務」で判断する

VPN接続の優先順位を決める時に、社長や役員を最優先にする企業があります。もちろん経営判断や承認業務に必要であれば優先度は高くなります。

しかし、単純に役職だけで決めると実態とずれることがあります。たとえば社長がVPNをほとんど使わず、経理担当が毎日基幹システムへ接続している場合、実務上の優先度は経理担当の方が高くなります。

重要なのは、「その人が接続できないと何の業務が止まるのか」です。売上、請求、支払い、受発注、顧客対応、承認、障害対応に直結する利用者は優先度を高く設定する必要があります。

優先度利用者例優先理由運用ルール例
経理・管理部門請求、支払い、月次処理が止まる月末月初は優先接続
受発注担当顧客対応や出荷業務に影響する営業時間中は優先
管理職・承認者承認待ちで現場が止まる承認時間帯を決める
営業担当商談中の資料確認に影響する外出時のみ接続
資料閲覧のみの利用者代替手段を用意しやすい必要時だけ接続
一時利用者・外部委託先常時接続の必要性が低い時間帯や期限を制限

優先順位設定はあくまでも応急処置

VPN接続の優先順位設定は、あくまで接続枠が足りない時の応急処置です。これだけで問題を解決しようとすると、現場の不満が残ります。

優先順位設定は一時的な交通整理であって、道路そのものを広げる対策ではありません。接続需要が常に上限に近い状態であれば、VPNルーターやUTMの増強が必要です。

この状態でテレワーク対象者が1人増えただけでも、接続不能が発生しやすくなります。

  • 同時接続数の上限に近い状態が続いている
  • 朝や月末だけ接続エラーが出る
  • 誰かが切断しないと別の人が入れない
  • VPN接続の問い合わせが月に何度も発生している
  • 今後テレワーク対象者が増える予定がある

接続制限をする場合は社内ルールまで決めておく

VPNの優先順位を決める場合、機器設定だけでなく社内ルールも必要です。

よくある失敗は、管理者だけがルールを決めて、利用者に共有していないケースです。この場合、接続できない社員から問い合わせが集中し、結局総務や管理者の負担が増えます。

確認項目確認する理由
退職者アカウント不正利用リスクを防ぐ
常時接続者不要なVPN枠消費を防ぐ
外部委託先アカウント利用期限切れの放置を防ぐ
管理者権限権限過多による事故を防ぐ
接続ログ実際の利用状況を把握する

また、退職者や異動者のVPNアカウントが残ったままになっている企業もあります。使っていないアカウントが残っていると、管理が複雑になるだけでなく、セキュリティ上のリスクにもなります。

優先順位設定を行うタイミングで、VPNアカウントの棚卸しも同時に行うべきです。

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VPNルーターの価格相場と見積もりの見方

導入費用の目安

項目相場
VPNルーター本体5万円〜20万円
VPN設定費3万円〜15万円
現地作業2万円〜10万円
保守契約月3,000円〜15,000円
導入総額10万円〜40万円超

極端に安い見積もりに注意

VPN機器の見積もりが極端に安い場合、設定作業や障害対応、保守費用が含まれていないケースがあります。導入後に追加費用が発生し、結果的に総額が高くなることも少なくありません。

高額見積もりが適正な場合もある

VPNやUTMの見積もりは、高額だから不適切とは限りません。24時間365日の保守対応や障害発生時の駆け付け対応、バックアップ回線の構築が含まれている場合もあります。

見積書を見る際は本体価格だけで判断せず、設定内容、保守範囲、障害対応体制まで確認することが重要です。同じ30万円の見積もりでも、含まれるサービス内容によって実際の価値は大きく異なります。

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買い替え判断基準と古い機器の危険性

古い機器の危険性
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VPN機器は、壊れるまで使えるものだと思われがちです。しかし法人利用では、「電源が入るか」ではなく「安全に使い続けられるか」で判断する必要があります。

判断基準①:5年以上使っているVPN機器

VPN機器は、5年を超えたあたりから更新候補として見ておく必要があります。理由は、機器の故障だけではありません。ファームウェア更新、セキュリティ修正、メーカーサポート、VPN方式の古さ、処理性能の不足など、複数の問題が出やすくなるためです。

更新検討チェックリスト

  • 導入から5年以上経過している
  • ファームウェア更新を数年以上していない
  • メーカー保守やサポート期限を把握していない
  • VPN方式が古いまま運用されている
  • 設定資料や管理者パスワードが社内に残っていない

上記に当てはまる場合、故障していなくても更新検討の対象です。

判断基準②:接続数ギリギリの構成

現在5人中4人がVPNを利用している状態で、「まだ1人分余裕がある」と判断するのは危険です。

実際の運用では、急な在宅勤務、出張先からの接続、管理職の承認作業、経理の月末処理などが重なります。

また、VPN機器は接続数だけでなく通信量にも影響を受けます。ファイルサーバーへの大容量アクセス、リモートデスクトップ、基幹システム利用が重なると、接続できても遅い状態になります。

「繋がっているから問題ない」ではなく、「業務に支障がない速度で使えているか」まで確認する必要があります。

現在の利用状況判断理由
上限の半分以下まだ余裕あり一時的な増加に対応しやすい
上限の7割程度注意利用者増加で不足しやすい
上限の8〜9割更新検討繁忙時間帯に接続失敗が起きやすい
上限到達がある早急に見直し業務停止リスクが高い

判断基準③:壊れてから交換すると業務が完全に止まる

VPN機器は壊れてから交換すればよい、という考え方は法人利用では危険です。

故障してから交換する場合、機器選定、見積もり、発注、納品、設定、動作確認を短時間で行う必要があります。

その間、在宅勤務者は社内システムへ接続できません。拠点間VPNで支店と本社を接続している場合は、支店業務そのものが止まる可能性もあります。

事前に更新していれば本体価格と通常設定費で済んだものが、緊急対応費、暫定構築費、再訪問費まで加算されるケースがあります。

買い替え前に確認すべき項目

VPN機器を買い替える際は、単純に同じメーカーの後継機を選ぶだけでは不十分です。

現在の利用人数、今後のテレワーク対象者、拠点数、社内サーバーの有無、クラウド移行予定、保守体制まで確認する必要があります。

買い替えは、古い機器を新しい機器に置き換える作業ではなく、今の働き方に合わせて設計を見直すタイミングです。

確認項目確認する理由
現在の同時接続数実際の利用量を把握するため
3〜5年後の利用人数すぐに性能不足になるのを防ぐため
拠点数拠点間VPNの設計に関わるため
利用システム通信量や必要性能を判断するため
保守範囲障害時の対応責任を明確にするため
リース総額月額だけでなく総支払額を見るため

VPN機器は、壊れてから交換するものではありません。5年以上利用している、接続数が上限に近い、サポート期限が不明、ファームウェア更新をしていない場合は、故障前に見直した方が結果的に安く済むケースが多くあります。

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まとめ|VPNは「必要な時に安定して使えるか」が重要

VPNルーター運用の5つのポイント

VPNは「繋がるかどうか」だけでなく、「必要な時に安定して使えるか」が重要です。同時接続数5人の機器で10人が利用する環境では、特定の時間帯だけ接続できない。また、古いセキュリティから脆弱性を狙ったサイバー攻撃のリスクも発生しやすくなります。

VPN機器の見直しでは、本体価格だけで判断せず、同時接続数、保守範囲、ライセンス費、将来の利用者数まで含めて確認することが大切です。優先順位設定は一時的な対策として有効ですが、接続数不足が常態化している場合は機器増強も検討する必要があります。

もし現在の構成や見積もりに不安がある場合は、契約前や更新前の段階で第三者の視点から確認することをおすすめします。VPNは導入後に見直すよりも、導入前に適正な構成を選ぶ方が結果的に費用もトラブルも抑えやすくなります。

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