「複合機(コピー機)の入れ替えのついでに、UTM(セキュリティ機器)もセットで勧められた」
「まとめて月額○○円のリースにしましょう、と言われたけど、これって得なの?」
複合機のリース更新や新規導入のタイミングで、出入りのOA機器業者から「セキュリティ対策も一緒にどうですか」とUTMを抱き合わせで提案されるケースが増えています。1枚の見積もりに複合機とUTMがまとめて載っていて、「月額いくら」という形で提示される——この形、実は注意が必要です。
結論を先にお伝えします。複合機とUTMの「セットリース」は、UTMの価格が不透明になり、割高な契約を結ばされやすい形態です。さらに、いったん契約すると「複合機は満足だがUTMは不満」でも、まとめて縛られて解約できないという問題も抱えます。
この記事では、複合機×UTMのセットリースがなぜ危険なのか、適正価格をどう見分けるかを、機器を売る側ではなく“選ぶ側”の目線で正直に解説します。
複合機とセットのUTM見積もり、その価格は妥当ですか?
「複合機と一緒にUTMをセットで提案されたが、UTM部分が適正か分からない」方へ。
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なぜOA機器業者は複合機に「UTMを抱き合わせる」のか

まず、この構図を理解することが大切です。複合機を扱うOA機器業者にとって、UTMの抱き合わせ販売には“うまみ”があります。
- UTMには明確な定価がない:複合機と違い、UTMは価格が表に出にくく、業者が利益を乗せやすい。UTMに定価は存在しないことを利用される
- 複合機の商談ついでに売れる:新規の営業をしなくても、既存の複合機顧客にそのまま提案できる
- 「まとめて月額」で総額が見えにくい:複合機とUTMを合算すると、UTM単体がいくらなのか分からなくなる
- 長期リースで長く縛れる:一度セットで契約すれば、数年間の安定収入になる
もちろん、OA機器業者が全て悪いわけではありません。ワンストップで頼める利便性はあります。ただ、「複合機の専門家=ネットワークセキュリティの専門家」ではないという点は、必ず押さえておくべきです。複合機に強くても、UTMの機種選定や設定は専門外というケースは珍しくありません。
複合機×UTMセットリースの「3つの危険」
危険①:UTMの価格が不透明になり、割高になりやすい
最大の問題がこれです。複合機とUTMがまとめて「月額○○円」と提示されると、UTM単体がいくらなのか分かりません。複合機の価格に紛れて、UTM部分に過大な利益が乗っていても気づけないのです。
実際、当サイトには「複合機を4台持っている事業者が、UTMを月額29,700円(7年リース・明細なし)で提案された」という相談が寄せられました。7年で総額約249万円ですが、明細がないため、UTM単体の妥当性を検証できない状態でした。見積書の内訳を確認する重要性はUTM見積書で真っ先にチェックすべき項目で解説しています。
危険②:不満があっても、まとめて縛られて解約できない
複合機とUTMを1本のリースにまとめると、途中解約もセットになります。「複合機は問題ないが、UTMの性能が足りない・対応が悪い」と感じても、UTMだけを切り離して替えることができません。解約するなら複合機ごと、しかも残り期間の違約金が発生します。
リースの途中解約がいかに難しいか、悪徳OA機器ベンダーから主導権を取り戻す方法はこの記事で詳しく解説しています。
危険③:機器の「寿命」がバラバラなのに、契約期間が揃ってしまう
複合機とUTMは、実は“旬”の長さが違います。複合機は物理的に長く使えますが、UTMのセキュリティ性能は約5年で古びます。それなのに複合機に合わせて6〜7年の長期リースにすると、契約の後半でUTMだけが時代遅れになり、新しい脅威に対応できない“ただの箱”になりかねません。UTMが古くなるタイミングはこの記事を、7年リースの問題はUTMの7年リースは高すぎる?をご参照ください。
セット提案のUTM部分だけ、適正か切り出して診断します
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実例|「セット提案」で起きたこと
当サイトに実際に寄せられた相談を、匿名で紹介します。抱き合わせ提案の典型的なパターンです。
ある事業者のケース
「回線業者を名乗る会社から『光回線の容量が足りていない』と指摘され、回線の増強と“併せてセキュリティ強化の装置”を勧められて承諾した。割賦83回・総額約132万円の契約になったが、装置(UTM)はついたものの、肝心の回線増強については後から説明がなく、書類にも記載がなく、工事が行われたのかも疑わしい」
このケースの問題点は明確です。「ついで」「セット」で高額な契約を結ばされ、しかも中身(何にいくら払っているか)が不透明だったこと。UTMという“よく分からない機器”が、他の提案に紛れ込む形で売られています。こうした強引な営業・悪質業者の手口はこの記事で、「実質0円」を謳う営業への注意はこの記事で解説しています。
抱き合わせ提案の「適正価格」を見分ける3ステップ

複合機とUTMをセットで提案されたとき、損をしないための具体的な手順です。
ステップ①:見積もりを「機器ごとに分けて」もらう
まず、「複合機」「UTM」「回線」を1行ずつ分けた明細を求めてください。これを断る、または「セットだから分けられない」と言う業者は要注意です。UTM単体の本体価格・ライセンス・保守・設定費が分かって初めて、妥当性を判断できます。
ステップ②:UTM部分だけを「相場」と照らす
分けてもらったUTMの金額を、単体の相場と比較します。たとえばFortiGateなら価格相場の記事で、国産のサクサならサクサとFortiGateの比較記事で、おおよその適正ラインが分かります。相場より大きく高いなら、抱き合わせで利益が乗っている可能性が高いです。
ステップ③:契約期間と解約条件を確認する
複合機に合わせて6〜7年の長期リースになっていないか確認します。UTMの旬は約5年なので、それより長い契約は後半で機器が古びます。また、途中解約の条件・違約金も必ず確認してください。「一括購入」という選択肢が有利な場合もあります(一括かリースか)。
そもそも、UTMは複合機と「分けて」考えるべき
結論として、UTM(セキュリティ)は、複合機とは切り離して選ぶことをおすすめします。理由は3つです。
- 専門性が違う:複合機の専門家とネットワークセキュリティの専門家は別。UTMは機種選定・設定・運用に専門知識が要る
- 価格が透明になる:単体で見積もれば、UTMがいくらか一目瞭然。抱き合わせの不透明さがなくなる
- 柔軟に見直せる:複合機とUTMを別契約にしておけば、片方だけ不満でも独立して替えられる
「ワンストップで楽だから」という理由だけでセットにすると、価格・解約・機器寿命の面で不利になりがちです。楽さの代償が、数十万円の割高な契約になっていないか、一度立ち止まって確認する価値があります。「売ったら終わり」の販売店に依存しない体制づくりはこの記事もご参照ください。
なお、複合機メーカーが提供する「月額サービス型UTM」(富士フイルムのbeatなど)も、同じく“中身が見えにくい”という共通の注意点があります。こちらの実態はbeatの料金と評判の記事で詳しく解説しています。
複合機×UTMのセットリースに関するよくある質問(FAQ)
Q. 複合機とUTMのセットリースは、やめた方がいいですか?
A. 必ずしも「セット=悪」ではありませんが、UTMの価格が不透明になり割高になりやすいこと、片方だけ不満でも解約できないこと、機器の寿命がバラバラなのに契約期間が揃ってしまうことから、注意が必要です。少なくとも「機器ごとに分けた明細」をもらい、UTM単体の価格が適正か確認することを強くおすすめします。
Q. なぜOA機器業者はUTMをセットで勧めてくるのですか?
A. UTMには明確な定価がなく利益を乗せやすいこと、複合機の商談ついでに売れること、まとめて月額にすると総額が見えにくいこと、長期リースで安定収入になることが理由です。複合機の専門家がネットワークセキュリティの専門家とは限らない点にも注意が必要です。
Q. セットで提案されたUTMが高いか、どう見分けますか?
A. まず見積もりを「複合機」「UTM」「回線」に分けてもらい、UTM部分の本体・ライセンス・保守・設定費を明確にします。その金額をUTM単体の相場と比較し、相場より大きく高ければ抱き合わせで利益が乗っている可能性があります。第三者の適正診断も有効です。
Q. 複合機は満足ですが、セットのUTMだけ解約できますか?
A. 1本のリースにまとめている場合、UTMだけを切り離して解約することは原則できません。解約は複合機ごと、かつ残り期間の違約金が発生するのが一般的です。だからこそ、契約前に機器を分けておくことが重要です。
Q. UTMは複合機と同じ会社に頼んだ方が楽では?
A. ワンストップの利便性はありますが、価格の不透明さ・解約の縛り・専門性の違いというデメリットがあります。UTMは機種選定や設定に専門知識が必要なため、セキュリティを専門に扱う先に相談する方が、適正価格で適切な機種を選べます。
Q. すでにセットで契約してしまいました。どうすれば?
A. まず契約書で内訳・解約条件・違約金・満了時期を確認してください。途中解約は違約金がかかるため、多くの場合は満了まで使い、次回更新時に複合機とUTMを分けて見直すのが現実的です。満了の1年前から準備すると有利に動けます。
まとめ:複合機とUTMは「分けて」考えるだけで損を防げる

複合機×UTMのセットリースについて、覚えておくべきことは3つです。
- セットにするとUTMの価格が不透明になり割高になりやすい → 必ず機器ごとの明細を求める
- まとめて縛られ、片方だけ不満でも解約できない → UTMは別契約が安全
- 複合機とUTMは機器寿命が違う → 複合機に合わせた長期リースはUTMには不利
「複合機と一緒にUTMを勧められたが、この価格が妥当か分からない」――そんなときこそ、機器を売る側ではなく“選ぶ側”のプロにセカンドオピニオンを。セット提案の中からUTM部分だけを切り出し、価格・機種・契約期間が本当に貴社に合っているか、中立の立場で診断します。
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