「Merakiの見積もりを見たら、本体代のほかに毎年のライセンス費用が付いていた」「更新しないとどうなるのか分からない」。Cisco Meraki(シスコ メラキ)の導入前・更新前に、必ず引っかかるのがこの点です。
この記事では、MR(Wi-Fiアクセスポイント)・MX(ルーター兼UTM)・Meraki Go(小規模向け)の違い、価格の目安、そして「切れると止まる」仕組みと対策を、公式ドキュメントの記載に沿って整理します。
※今の構成のまま更新した方が得な場合は、その旨を正直にお伝えします。
まず整理:MR・MX・Meraki Goは別物
Merakiという名前で呼ばれる製品は、大きく3系統あります。混同すると見積もりが読めません。
| 系統 | 役割 | 管理方法 | ライセンス費用 |
|---|---|---|---|
| MRシリーズ (MR36・MR46など) | 法人向けWi-Fiアクセスポイント | Merakiダッシュボード(PC) | 必要(1台につき1ライセンス) |
| MXシリーズ (MX67など) | ルーター兼セキュリティ機器(UTM=ネットワークの門番) | Merakiダッシュボード(PC) | 必要(3段階の階層あり) |
| Meraki Go (GR12など) | 小規模オフィス・店舗向け | スマホアプリ/ポータル | 不要(サブスクリプションは2019年10月9日に廃止と公式FAQに記載) |
※出典:Cisco Meraki Documentation「Meraki Go – FAQ(よくあるご質問)」「Meraki MX/Z Security and SD-WAN Licensing」準拠
価格:本体とライセンス、それぞれの目安

Merakiは、メーカーが日本向けの標準価格を一般公開していない製品です。そのため、ここでは正規代理店が掲載する参考標準価格と、販売店の表示価格の両方を並べます。実際の見積もり額は販売店・数量・時期で変わります。
| 品目 | 参考標準価格(税抜) | 販売店表示価格(税別) |
|---|---|---|
| MX67-HW(ルーター兼UTM・本体) | 非公開(問い合わせ) | 87,120円 |
| MR36-HW(Wi-Fi 6 AP・本体) | 152,900円 | 92,475円 |
| MR46-HW(Wi-Fi 6 AP・本体) | 361,700円 | ― |
| LIC-ENT-1YR(MR用 Enterpriseライセンス1年・1台分) | ― | 19,936円 |
| MX用ライセンス(Enterprise/Advanced Security) | 【要確認:国内価格】 | |
| Meraki Go GR12(本体・ライセンス不要) | 26,807円(税込・2022年10月の発売時価格) | |
※出典:参考標準価格=SB C&S IT-EXchange(2025年11月20日時点)、販売店表示価格=秋葉電子(2026年9月時点)、GR12=24Wireless(発売時の報道価格)準拠。いずれも実勢価格の目安であり、販売を保証するものではありません
ここから読み取れることは3つです。
- 参考標準価格と実売価格の差が大きい(MR36で約6万円)。定価ベースの見積もりは、そのまま受け取らない
- Wi-Fi用ライセンスは1台あたり年2万円前後が目安。アクセスポイント5台なら、毎年10万円前後が固定費として乗る
- Meraki Goだけはライセンス費用がかからない。小規模ならここが最大の差になる
最重要:ライセンスが切れると何が起きるか
Merakiの公式ドキュメント(General Licensing FAQs)には、ライセンスが不足・失効して「非準拠(out of compliance)」になった場合について、次のように書かれています。
ファイアウォールの機能だけ残る、といった動きではありません。通信そのものが止まります。ルーターであるMXが止まれば、その拠点はインターネットに出られなくなります。
猶予期間は30日
ただし、期限を1日過ぎた瞬間に止まるわけではありません。公式ドキュメントには次の記載があります。
- 猶予期間は30日間。「猶予期間中、ネットワークの利用者に違いは見えない」(Co-Termination Licensing)
- 30日以内に是正されない場合、「適切なライセンスが適用されるまで組織はシャットダウンされる」(同)
- デバイス単位ライセンス(PDL)では「ライセンス失効からデバイスまたはソフトウェア製品が停止するまで30日間の猶予期間がある」(The Science behind Per-Device Licensing)
- 猶予期間中に新しいライセンスを適用した場合、猶予に使った日数は新ライセンスの期間から差し引かれる(同)
つまり、実質的な期限は「表示されている期限日+30日」です。発注から納品までの時間を考えると、期限の2〜3か月前には動き出すのが安全です。
ライセンスの管理方式は3種類
| 方式 | 期限の持ち方 | 注意点 |
|---|---|---|
| コターム(Co-Termination) | 組織内の全ライセンスが1つの期限日に統一される | 期限を過ぎて30日経つと組織全体が停止。台数を追加すると計算が変わる |
| デバイス単位(PDL) | 機器ごとに別々の期限日 | 期限日が分散するため、管理表がないと見落としやすい |
| サブスクリプション | 36〜84か月の期間で、開始日・終了日を設定 | コタームやPDLが有効な組織では、それらが失効・猶予に入るまで登録できない |
※出典:Cisco Meraki Documentation「Co-Termination Licensing」「The Science behind Per-Device Licensing」「Merakiサブスクリプションライセンスの概要」準拠
MXのライセンスは3段階
MX(ルーター兼UTM)のライセンスには階層があり、選ぶ階層で使える機能が変わります。
- Enterprise:基本的なSD-WANと、安全な接続・基本的なセキュリティ
- Advanced Security:Enterpriseの全機能+UTM機能(ウイルス対策や不正侵入防御などの脅威対策)
- Secure SD-WAN Plus:Advanced Securityの全機能+機械学習を用いた高度な分析
「MerakiをUTMとして使いたい」場合はAdvanced Security以上が必要です。見積もりにEnterpriseと書かれていれば、それはUTM機能の入っていない構成ということになります。ここは必ず確認してください。
主要機種のスペックを社長の言葉で
| 機種 | 位置づけ | 公式スペック | 分かりやすく言うと |
|---|---|---|---|
| MX67 | 小規模拠点のルーター兼UTM | 推奨50ユーザーまで/ファイアウォール 700Mbps/拠点間VPN 300Mbps/WAN 2ポート・LAN 4ポート | 50人までの事務所1か所に向く入口の機器 |
| MR46 | 上位のWi-Fi 6 AP | 802.11ax/4×4 MIMO・4ストリーム/合計2.98Gbps/PoE 802.3at・最大30W/2.5Gポート | 人が多い場所・同時接続が多い場所向け。給電は上位のPoE規格が必要 |
| MR36 | 標準的なWi-Fi 6 AP | 802.11ax/2×2 MIMO・2ストリーム/合計1.5Gbps/PoE 802.3af・最大15W/1Gポート | 一般的な事務所ならこちらで足りることが多い |
| GR12(Meraki Go) | 小規模向けWi-Fi 6 AP | 802.11ax/2×2/1000BASE-T/PoE(802.3af/802.3at)対応 | スマホで管理。ライセンス費用なしで使える |
※出典:Cisco「Meraki MX67」製品ページ、Cisco Meraki Documentation「MR46 Datasheet」「MR36 Datasheet」「Meraki Go GR12 Installation Guide」準拠
見落とされがちなのがPoE(LANケーブルで給電する仕組み)の規格です。MR46は802.3at・最大30Wを要求します。今あるスイッチが802.3af(最大15W前後)までしか対応していない場合、スイッチの買い替えや電源アダプタの追加費用が発生します。見積もりにスイッチが入っているか確認してください。
なお、MR46・MR36ともハードウェアは生涯保証(先出し交換付き)とデータシートに記載があります。故障時の交換リスクは低い製品です。ただし、この保証はライセンスが有効であることが前提の運用になります。
※メーカーに縛られない立場で、継続・乗り換えの両方を比較してお伝えします。
向いている会社/向かない会社

| Meraki(MR・MX)が向いている | Merakiが向かない・過剰 |
|---|---|
| 拠点が3か所以上あり、まとめて管理したい | 拠点が1か所で、機器も数台だけ |
| 現地に行かずに設定変更・状況確認をしたい | 毎年のライセンス費用を固定費として持ちたくない |
| 台数が多く、1台ずつ設定する手間を減らしたい | 機器を長く使い倒したい(ライセンスが切れると止まるため) |
| 担当者が交代しても、同じ画面で引き継げる状態にしたい | 予算が厳しく、Meraki Goで足りる規模(〜数十名) |
※出典:本記事で引用した公式ドキュメントの仕様・ライセンス条件に基づく当サイトの整理
「UTMとしてMerakiを使うか、他社の機器にするか」で迷っている場合は、Cisco MerakiとFortiGateの比較もあわせてご覧ください。ライセンス切れ時の挙動が両者で異なる点を扱っています。
よくある質問(FAQ)
Q. ライセンスが切れると、本当に機器は使えなくなりますか?
公式ドキュメントには、非準拠の状態ではMerakiのハードウェアは動作しなくなり、設定変更ができなくなるうえ、ネットワーク製品がインターネットへの通信を通さなくなると記載されています。ただし期限切れから30日間の猶予期間があり、その間は利用者から見た違いはないとされています。実質の期限は表示されている期限日の30日後と考えてください。
Q. Meraki Goにもライセンス費用はかかりますか?
公式FAQには、Meraki Goのサブスクリプションは2019年10月9日をもって廃止されたと記載されています。そのため本体を購入すれば継続費用なしで使えます。ただしMeraki Goはスマホアプリでの管理となり、MRやMXと同じダッシュボードで一元管理することはできません。
Q. MRとMXのライセンスは何が違いますか?
MRはアクセスポイント1台につき1ライセンスという考え方です。MXにはEnterprise、Advanced Security、Secure SD-WAN Plusの3段階があり、UTMとしての脅威対策機能を使うにはAdvanced Security以上が必要です。見積もりにEnterpriseとだけ書かれている場合、UTM機能は含まれていません。
Q. ライセンスは何年分をまとめて買うのがよいですか?
1年、3年、5年などから選べます。長い期間をまとめて契約すると更新忘れのリスクは減りますが、その間は他社製品への乗り換えがしにくくなります。機器を何年使う想定かを先に決め、その年数に合わせるのが基本です。
Q. 更新の見積もりが想定より高い場合、どうすればよいですか?
選択肢は3つです。階層や台数を見直して更新する、ライセンス費用のかからない製品構成に切り替える、拠点ごとに使い分ける。判断の前に、現在のライセンス方式がコタームかデバイス単位かと、全機器の期限日を洗い出してください。コタームの場合は1か所の期限切れが組織全体に及びます。
まとめ
覚えておくべきことは3つです。
- Merakiの費用は本体+ライセンスの2階建て。Wi-Fi用ライセンスは1台あたり年2万円前後が目安で、台数分が毎年かかる
- ライセンスが切れると通信が止まる。猶予は30日。期限日の把握と、2〜3か月前からの更新準備が必須
- UTM機能が必要ならMXはAdvanced Security以上。小規模ならライセンス費用のかからないMeraki Goも選択肢
他社製品との比較は、MerakiとAruba Instant Onの比較(Wi-Fi)とMerakiとFortiGateの比較(UTM)をあわせてご覧ください。
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