「クラウドを使っているから安心」
「NASを導入したからバックアップは万全」。
実際の現場では、この思い込みが原因で業務停止につながるケースを何度も見てきました。
ランサムウェアによって共有フォルダが暗号化され、見積書や設計図、会計データが開けなくなると、営業活動だけでなく請求業務や受発注まで止まります。復旧まで数日から数週間かかることも珍しくありません。
この記事では、クラウドストレージと社内NASの違いだけでなく、本当に安全なバックアップ構成と見積もりで確認すべきポイントまで分かる状態を目指します。
クラウドとNAS、自社に合う構成になっていますか?
NAS本体、バックアップ設定、保守費、ライセンス費、リース総額まで含めて、
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クラウドストレージと社内NASは役割がまったく違う

クラウドストレージとは共有できる基盤
クラウドストレージは、インターネット経由でデータを保存・共有するサービスです。クラウドストレージは「業務を円滑に進めるための共有基盤」と考え、バックアップとは切り分けて考えることが重要です。
メリット
- 外出先や自宅、支店など場所を問わず同じデータへアクセスできる
- テレワークや複数拠点で業務を行う企業では欠かせない
- 複数人で同じ資料を同時編集できる
- 自動で同期される
デメリット
- 「クラウドに保存しているからバックアップもできている」は誤解
- サービスによっては削除データの保持期間や復元できる世代数に制限がある
- 誤って削除したファイルやランサムウェアによって暗号化されたファイルが、そのまま同期されてしまう
社内NASとは管理するためのストレージ
社内NASは、社内ネットワーク上に設置してデータを一元管理するためのストレージです。大容量の設計図や動画、画像データなどを高速に扱えるため、製造業や建設業、デザイン会社などでは今も多く導入されています。
メリット
- 大容量の設計図や動画、画像データなどを高速に扱える
- 社内LAN経由で利用するため通信が安定
- 大容量ファイルでも快適に扱える
デメリット
- NASはあくまで保存場所
- バックアップ先を別に用意していなければ復旧できない可能性がある
- 5年以上使用しているNASやファームウェアを更新していない機器は、セキュリティリスクが高まる
実際の現場では、「クラウドかNASか」の二択ではなく、それぞれの役割を分けて運用している企業ほど障害時の復旧がスムーズです。
重要なのは、どちらが優れているかではなく、自社の業務内容やデータ量、復旧に求められるスピードに合わせて役割を整理することです。
ランサムウェア被害で最も多い誤解
ランサムウェアによる被害が拡大している中でも、現場で特に多く見かけるのが「クラウドを使っているから安心」「NASがあるからバックアップは万全」という誤解です。実際には、ランサムウェアによる被害を受けた企業の多くが、何らかのバックアップ環境を導入していました。しかし、その運用方法や設定に問題があり、復旧できなかったケースが少なくありません。
バックアップ対策で重要なのは、「保存していること」ではなく、「元の状態へ確実に復元できること」です。ここを理解していないままシステムを導入すると、いざという時に業務を再開できず、大きな損失につながります。
同期される=安全ではない
「Microsoft 365を導入しているから安心」「Google Driveを利用しているからバックアップは不要」という相談は非常に多く寄せられます。
同期とは、複数の端末で同じ状態を維持するための機能です。そのため、誤ってファイルを削除した場合や、ランサムウェアによって暗号化された場合でも、その変更内容がクラウド側へ同期されてしまう可能性があります。
実際に被害相談を受ける企業では、「クラウドだから安全だと思っていた」というケースが非常に多く見られます。これは製品の問題ではなく、同期とバックアップの違いを十分に説明されないまま導入していることが原因です。
| 同期機能 | バックアップ |
|---|---|
| データを同じ状態に保つ | 過去の状態へ復元する |
| 削除や暗号化も反映される場合がある | 正常な作業状態へ戻せる |
| 業務効率が目的 | 障害・災害対策が目的 |
NASも設定次第では一緒に被害を受ける
社内NASを導入している企業でも、「NASがあるから安心」という考え方には注意が必要です。NASはデータを保存する装置であり、それだけでランサムウェア対策になるわけではありません。
常時ネットワークへ接続されたNASは、設定によってはランサムウェアの攻撃対象になります。
- 管理者アカウントの使い回し
- 初期パスワードのまま運用している
- ファームウェアを数年間更新していない
- NASを常時ネットワークへ接続したまま運用している
- バックアップ先がNASしか存在しない
- 復元テストを一度も実施していない
さらに、導入時には保守契約を結んでいても、コスト削減を理由に途中で解約し、更新プログラムの適用や設定確認が行われないまま5年以上使い続けている企業も珍しくありません。その結果、小さな設定ミスや脆弱性が放置され、被害が拡大してしまいます。

社員30人の料金シミュレーション

例えば、社員30名の企業が「社内データのバックアップを取りたい」と業者へ相談したとします。最初に提示された見積もりには、NAS本体15万円と記載されており、「思ったより安い」と感じるかもしれません。しかし、実際の契約段階では、本体価格以外の費用が追加され、総額が大きく変わるケースは珍しくありません。
5年リースを選択した場合は金利や手数料も含まれるため、最終的な支払総額は70〜80万円程度になることもあります。「本体15万円」という印象だけで契約すると、想定以上のコストになる可能性があります。
| 項目 | 費用例 |
|---|---|
| NAS本体 | 15万円 |
| 初期設定・データ移行 | 8万円 |
| VPN・バックアップ設定 | 8万円 |
| 年間保守・ライセンス(5年) | 40万円 |
| 5年間の総額 | 約71万円 |
重要なのは、本体価格だけではなく「導入後5年間でいくらかかるのか」を確認することです。見積書では、初期費用・年間保守費・ライセンス費・障害対応費が含まれているかを確認し、総額で比較することで、想定外の出費を防ぎやすくなります。

向いている企業と向かない企業
クラウド中心が向いている企業
クラウドストレージは、社外からのアクセスや複数人での共同作業を前提とした企業に適しています。インターネット環境があれば場所を問わず同じデータを利用できるため、テレワークや外出先での業務が多い企業では特に利便性を実感できます。また、メール添付によるファイル共有が減り、最新版の資料を全員で管理しやすくなることも大きなメリットです。
特に次のような企業では、クラウドストレージのメリットを活かしやすくなります。
- 営業担当者の外出が多い企業
- テレワークや在宅勤務を導入している企業
- 複数人で同じ資料を共同編集することが多い企業
- 複数の支店・営業所でデータを共有している企業
- 取引先とのデータ共有が多い企業
一方で、クラウドストレージは「共有するための仕組み」であり、「バックアップの仕組み」ではありません。ランサムウェア対策や誤削除への備えとしては、別途バックアップ環境を用意することが前提となります。
NASが向いている企業
NASは、大容量データを高速に扱いたい企業や、社内ネットワーク内で業務が完結する企業に適しています。CADデータや設計図、高画質画像・動画などを扱う場合は、クラウドよりも快適に作業できるケースが多くあります。また、自社でバックアップルールを決めて運用できる企業ほど、NASのメリットを十分に活かせます。
次のような企業では、NASを導入するメリットが大きくなります。
- 設計図や動画など大容量データを扱う企業
- 社内LANで高速にファイル共有したい企業
- バックアップ運用をルール化できる企業
- 社内での業務が中心で、外部アクセスが少ない企業
- 長期保存が必要な業務データを多く保有している企業
ただし、NASを導入するだけではランサムウェア対策にはなりません。クラウドバックアップや外部ストレージを組み合わせ、「保存」と「復元」の両方を考えた構成にすることが、事業継続につながります。
クラウドとNAS、自社に合う構成になっていますか?
NAS本体、バックアップ設定、保守費、ライセンス費、リース総額まで含めて、
専門コンサルタントが 安全性・費用・構成の妥当性 を確認します。
※セカンドオピニオン大歓迎。しつこい営業電話は一切いたしません。
※原則1営業日以内に、担当エンジニアよりご連絡します。
まとめ|正しく使い分けてデータを守る

クラウドストレージと社内NASは、どちらか一方が優れているというものではありません。クラウドストレージは情報共有や共同作業に適しており、NASは大容量データの管理や社内での高速なファイル共有に強みがあります。それぞれの役割を理解せずに導入すると、「バックアップしているつもりだった」「復旧できると思っていた」という思い込みから、ランサムウェアや機器障害で大きな損失につながることがあります。
また、本体価格だけで判断するのではなく、設定費・保守費・ライセンス費・バックアップ構成まで含めた総額で比較することも重要です。自社の業務内容やデータ量に合った構成になっているかを確認し、「保存できる」だけでなく「確実に復元できる」環境を整えておくことが、事業継続につながります。
まずは、次の項目から確認してみてください。
- クラウド同期とバックアップの違いを理解する
- NASやバックアップ機器の運用状況を確認する
- 復元テストを実施し、本当に戻せるか検証する
- 5年以上使用している機器は買い替え時期を検討する
- 業者任せにせず、第三者の視点で構成を確認する

