「ウイルス対策ソフトは入っています。」
法人ITの相談で最も多く耳にする言葉の一つです。しかし実際には、その状態でもランサムウェアに感染し、VPN経由で社内ネットワーク全体へ被害が広がる企業は少なくありません。
その結果、突然VPNがつながらなくなり在宅勤務が停止したり、NAS内の共有データが暗号化されて業務停止になったり、取引先へマルウェアメールが送信され信用問題へ発展したりするケースも現場では珍しくありません。
この記事では、セキュリティソフトとUTMの違い、必要な企業・不要な企業、導入費用の相場、見積書で確認すべきポイントを現場目線で解説します。
「セキュリティソフトがあるから安心」と
思い込んでいませんか?
現在のセキュリティ対策やUTMの必要性、見積もりの構成・保守費まで確認し、
貴社に合った対策になっているか
を診断します。
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セキュリティソフトだけで安心している企業がランサム被害に遭う現場のリアル

セキュリティソフトは「端末」を守る製品
「うちはセキュリティソフトを入れているから大丈夫」と話される経営者の方は少なくありません。しかし、現場でさまざまな企業のネットワークを見てきた立場からすると、その認識には注意が必要です。
セキュリティソフトが守っているのは、基本的にパソコンやサーバーなどの端末(エンドポイント)です。ウイルスの検知や不正なプログラムの実行を防ぐ役割はありますが、会社全体の通信やネットワークを監視する製品ではありません。
つまり、セキュリティソフトは重要な対策ではあるものの、それだけで会社全体を守れるわけではありません。「端末を守る対策」と「ネットワーク全体を守る対策」は役割が異なることを理解しておくことが重要です。
社員1人のミスが全社のNAS障害と業務停止を引き起こす現実
セキュリティソフトの限界は、ネットワーク全体を保護できない点にあります。
実際に起きている現場の事例紹介
- 社員が取引先を装ったメールの添付ファイルを開いてしまった
- パソコンがランサムウェアに感染
- 同じ社内ネットワークに繋がっているファイルサーバー(NAS)のデータまで一瞬で暗号化
- 請求書や顧客データがすべて開けない
- バックアップすらも破壊されて完全な業務停止
- 引先への謝罪と信用失墜によって取り返しのつかないダメージ
セキュリティソフトは「個人の防具」にすぎず、社内ネットワーク全体を守ることはできません。一度突破されればNASのデータまで全滅します。

UTMは会社の入り口を監視する役割
UTMは社内ネットワークとインターネットの間に設置され、不正通信や危険なアクセスを遮断します。
社内に入る前の通信を確認するため、感染前に防げるケースがあります。
現場では「会社を守る警備員」のような役割として説明することが多くあります。
UTMは「会社の玄関の警備員」、セキュリティソフトは「個人の防弾チョッキ」
セキュリティソフトとUTM(統合脅威管理)の違いを現場目線でシンプルに言うと、守る場所が全く異なります。
- UTM
→インターネットと社内ネットワークの境界線に設置し、外部からの不正アクセスやウイルスを「会社の玄関」でブロックする関所のような役割 - セキュリティソフト
→玄関をすり抜けてしまった脅威からパソコン単体を守る防弾チョッキ
情シス不在企業ではこの違いが理解されておらず、防弾チョッキだけを着て、オフィスの玄関はフルオープンになっているような危険な状態で日々の業務を行っていることが少なくありません。
| 比較項目 | セキュリティソフトのみ(危険な構成) | UTM+ソフト(適正構成) |
| 防御の範囲 | インストールしたPCのみ | ネットワーク内の全機器(NAS・複合機・Wi-Fi含む) |
| 内部から外部への不正通信 | 検知できず情報漏洩のリスク大 | UTMが不審な通信を検知・強制遮断 |
| よくある現場の失敗 | 1台の感染からNAS障害へ波及し全滅 | 古い機器を使い続け、速度低下やVPN切断が発生 |
UTMとセキュリティソフトはどちらか一方を選ぶものではありません。玄関の防犯と個人の防御、両方揃って初めて企業レベルのセキュリティが成り立ちます。
VPNとの関係
VPNを利用している企業では、VPN装置自体が攻撃対象になることがあります。
古いファームウェアを更新せず利用し続けた結果、不正アクセスが発生した例も。
| 比較項目 | セキュリティソフト | UTM |
|---|---|---|
| 守る対象 | PC・サーバー | 社内ネットワーク全体 |
| メール添付対策 | ○ | ○ |
| 不正通信検知 | × | ○ |
| VPN監視 | × | ○ |
| Webアクセス制御 | △ | ○ |
VPN利用企業ほど、UTMによる監視やログ管理が重要になります。
UTMはセキュリティソフトの代わりではなく、役割が異なる製品です。

買い替えを検討したほうがよいタイミング
メーカーサポート終了や利用年数
UTMやルーターは、壊れてから交換すればよい機器ではありません。見た目は正常に動作していても、メーカーサポートが終了すると、脆弱性を修正するセキュリティアップデートが提供されなくなる場合があります。
サポート終了の状態でインターネットへ接続し続けると、新たな攻撃手法に対応できず、不正アクセスやランサムウェアの侵入口になるリスクが高まります。特に、導入から5〜7年以上経過している機器や、ファームウェアを長期間更新していない機器は、一度状態を確認したいタイミングです。
| 状況 | 買い替え検討度 |
|---|---|
| 導入から3年未満 | ★☆☆(基本的に継続利用) |
| 導入から5年以上 | ★★☆(性能・サポートを確認) |
| メーカーサポート終了 | ★★★(早めの更新を推奨) |
| ファームウェア更新が止まっている | ★★★(リスクが高い状態) |
| 故障やVPN障害が増えている | ★★★(更新を優先) |
会社の働き方が変わったとき
UTMを買い替える理由は、故障だけではありません。企業の働き方やシステム環境が変化すると、導入当時は十分だった性能でも対応しきれなくなることがあります。
例えば、テレワークの導入でVPN接続する社員が増えたり、Microsoft 365やGoogle Workspaceなどクラウドサービスの利用が増えたりすると、通信量や同時接続数が大きく変化します。その結果、通信速度の低下やVPN切断が頻発し、「ネットが遅い」「接続が不安定」といった問い合わせが増えるケースがあります。
現在の業務に対して適切な性能かを定期的に確認することで、将来的なトラブルや無駄なコストを防ぎやすくなります。
| こんな変化があれば要確認 | 見直し理由 |
|---|---|
| テレワークを始めた | VPN接続数が増えるため |
| クラウドサービスを導入した | 通信量が大きく増えるため |
| 社員数が増えた | 処理性能不足になりやすいため |
| 拠点が増えた | ネットワーク構成が複雑になるため |
| 通信速度が遅くなった | 機器性能不足の可能性があるため |
UTMは「壊れたら交換」ではなく、「サポート期限」と「会社の利用環境」の2つを基準に見直すことで、セキュリティリスクと運用コストの両方を抑えやすくなります。
「セキュリティソフトがあるから安心」と
思い込んでいませんか?
現在のセキュリティ対策やUTMの必要性、見積もりの構成・保守費まで確認し、
貴社に合った対策になっているか
を診断します。
※セカンドオピニオン大歓迎。しつこい営業電話は一切いたしません。
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UTM導入・リース更新の費用相場(社員30名例)

社員30名中小企業シミュレーション
社員30名程度の企業では、以下のような価格帯になることが一般的です。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 本体価格 | 8万〜30万円 |
| 実勢価格 | 10万〜25万円 |
| 設定費 | 3万〜10万円 |
| VPN設定費 | 2万〜8万円 |
| 年間保守 | 3万〜10万円 |
| ライセンス | 年間2万〜15万円 |
| 導入総額 | 20万〜60万円程度 |
| 月額換算 | 約5,000〜20,000円 |
| 導入総額予想(5年) | 35万〜90万円程度 |
見積書で見逃しやすい費用が、総額を大きく左右する
UTMの見積もりを比較するとき、本体価格だけを見て判断してしまう企業は少なくありません。しかし、実際の導入費用は本体以外の項目が大きな割合を占めることも多く、「本体が安かったから契約したのに、最終的な支払総額は他社より高くなっていた」というケースも珍しくありません。
特に見積書には、設定作業やVPN構築、ライセンス更新、保守契約などが別項目として記載されていることが多く、内容を十分に確認しないまま契約すると、毎年想定以上の費用が発生することがあります。
本体価格だけで比較するのではなく、次のような項目まで含めて確認することが大切です。
- 初期設定費・設置費は含まれているか
- VPN設定費は別料金になっていないか
- 年間ライセンス費用はいくらか
- 保守契約にどこまで対応が含まれるか
- 故障時の機器交換費用は保守に含まれるか
- 5年間利用した場合の総支払額はいくらになるか

まとめ|見積書は「製品」ではなく「構成」を比較する

UTMやセキュリティソフトは、「どのメーカーを選ぶか」よりも、「自社に合った構成になっているか」が重要です。本体価格だけで判断すると、導入後に保守費やライセンス費用が想定以上にかかったり、必要以上に高性能な機器を契約してしまったりするケースがあります。
また、セキュリティソフトとUTMは役割が異なります。セキュリティソフトは端末を守る対策、UTMは社内ネットワーク全体を守る対策です。それぞれの役割を理解したうえで、自社の規模や働き方に適した構成になっているかを確認することが、将来のトラブル防止につながります。
まずは、次の3つを確認してみてください。
- 現在利用しているUTM・ルーターの機種名とメーカーサポート期限を調べる
- 「セキュリティソフトだけの対策」になっていないか、自社のネットワーク構成を業者へ確認する
- 見積書の「本体価格」だけでなく、設定費・保守費・ライセンス費・5年間の総支払額まで確認する
これらを確認するだけでも、不要なコストやセキュリティ上の見落としに気付ける可能性があります。見積書や構成に少しでも不安がある場合は、契約前に第三者の視点で確認してもらうことで、導入後の後悔を防ぎやすくなります。

