「テレワークを導入したいが、VPNやパソコン、セキュリティまで揃えると費用が高い」
「補助金を使えると聞いたが、何が対象になるのかわからない」
実際、テレワーク関連の支援制度は国・自治体によって対象経費や助成額が異なり、VPN設定やパソコン購入が対象になる制度もあります。一方、「補助金が使える」という理由だけで高額な機器や長期契約を選ぶと、補助後も大きな負担が残ります。まずは、自社に必要な環境と利用できる制度を分けて考えることがポイントです。
この記事では、2026年度に確認できるテレワーク関連の補助金・助成金をもとに、VPNやパソコンなどの対象経費、東京都・大阪府での制度の探し方、申請前の注意点まで整理します。
補助金を活用して、テレワーク環境を整えませんか?
「どの制度が使える?」「VPNは必要?」という段階からご相談いただけます。
PC・クラウド・セキュリティまで、自社に必要な環境を整理します。
※補助金ありきではなく、必要なIT環境から整理します。
※セカンドオピニオンのご相談も歓迎しています。
テレワーク導入に使える補助金・助成金とは

テレワーク向けの支援制度は「国」と「自治体」で異なる
テレワークを導入する中小企業が利用できる支援制度には、全国の対象企業が申請できる国の助成金と、東京都など自治体が独自に実施する助成金・補助金があります。
全国の中小企業がまず確認したいのが、厚生労働省の「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」です。2026年度は、適切な労務管理のもとでテレワークを制度として導入・実施し、人材確保や雇用管理改善につなげた中小企業を対象としています。
「全国制度か自治体制度か」によって、支援の目的や対象となる費用が異なります。VPNやパソコンの導入費を抑えたい場合は、国の制度だけを見るのではなく、本社・事業所がある自治体の制度まで確認することがポイントです。
参考サイト:厚生労働省「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」
補助金を探す前にテレワークで必要な環境を整理する
よくある失敗が、先に補助対象製品を探してしまうことです。「このUTMなら補助金が使える」「このパソコンなら対象になる」と聞くと、その製品を中心に構成を考えたくなります。
しかし、社員10人でクラウドサービスを中心に利用している会社と、社員80人で社内サーバーやNASへアクセスする会社では、必要なテレワーク環境が違います。後者ならVPNが必要でも、前者ではVPNを使わずクラウドサービスと多要素認証を中心に構成できる場合があります。
テレワーク導入に向けての手順
- 自宅から何のシステムを使うのか
- 社内にしかないデータは何か
- 何人が同時に利用するのか
- VPN、パソコン、クラウドサービス、セキュリティ対策
その構成の中から補助対象になる経費を探す順番なら、「補助金を使うために不要な機器まで購入する」という逆転を防げます。
- 使える補助金を探す→対象製品を買う
- 必要なテレワーク環境を整理する→使える制度を探す
の順番で進めると、過剰な設備投資を防ぎやすくなります。
テレワーク補助金では何に使える?対象経費を確認
VPN・ルーター・UTMなどのネットワーク環境
テレワークでは、自宅など社外から会社のシステムへ安全に接続する環境が必要です。そこで候補になるのがVPNです。
VPN関連の見積もりを取る場合は、「VPN構築一式」とまとめてもらうより、機器費、VPN設定費、既存ネットワーク設定費、現地作業費などを分けてもらうと対象経費を確認しやすくなります。
パソコン・タブレットなどの端末
一方で、テレワーク用の端末を全社員分用意すると、補助金を活用しても一定の自己負担は発生します。そのため、コストを抑える方法として、社員の私用パソコンやタブレットを業務に利用する「BYOD(Bring Your Own Device)」を検討する方法もあります。
ただし、BYODなら端末購入費を抑えられる反面、会社が端末のセキュリティ状態を管理しにくくなります。
メリット
・会社がパソコンやタブレットを購入する費用を抑えられる
・社員が使い慣れた端末で業務を行える
・テレワーク開始時に大量の端末を用意する必要がない
・端末の調達を待たずにテレワークを始めやすい
デメリット
・OSやセキュリティソフトの更新状況を会社側で管理しにくい
・家族との端末共有などによる情報漏えいリスクがある
・私用端末が社内ネットワークへの侵入経路になる可能性がある
・退職時に業務データを確実に削除できない場合がある
・端末ごとに環境が異なり、トラブル時のサポートが複雑になりやすい
対策方法については下記の記事を参考にしてください。

クラウドサービスやセキュリティ対策
テレワーク環境はVPNとパソコンだけでは完成しません。Microsoft 365やGoogle Workspaceなどのクラウドサービス、勤怠管理、Web会議、端末管理、セキュリティサービスなどが必要になる会社もあります。
こうしたソフトウェアやサービスも、制度によって対象範囲が異なります。東京都のテレワークトータルサポート助成金では、業務ソフトウェア購入費や使用料などが助成対象経費の科目に含まれています。
| 設備・サービス | テレワークでの用途 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| パソコン | 自宅などから業務を行う | 購入費の対象可否・1台あたりの上限 |
| VPN | 社外から社内ネットワークへ接続 | 機器費と設定費を分けて確認 |
| UTM・セキュリティ | 外部からの攻撃や不正通信対策 | 対象製品・サービスが指定されていないか |
| クラウドサービス | ファイル共有・業務システム利用 | 利用料・契約期間が対象になるか |
| Web会議 | 社内会議・顧客対応 | ソフトウェア・使用料の対象可否 |
| 設定作業 | 端末・VPNなどの初期設定 | 委託費の対象範囲と上限 |
全国の中小企業が確認したいテレワーク関連の支援制度

人材確保等支援助成金(テレワークコース)
全国の中小企業が確認できる制度の一つが、厚生労働省の「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | テレワークを導入・実施する全国の中小企業事業主 |
| 既存導入企業 | すでにテレワークを導入しており、今後さらに実施を拡大する企業も対象になり得る |
| 制度導入助成 | 1企業あたり20万円 |
| 目標達成助成 | 1企業あたり10万円 |
| 賃金要件を満たす場合 | 目標達成助成が15万円に増額 |
| 主な目的 | テレワークの導入・実施による人材確保や雇用管理の改善 |
| 主な受給要件 | テレワークしやすい職場風土づくり、外部専門家によるコンサルティング、担当者・労働者への研修、テレワークの実施実績など |
| 注意点 | 2026年度は、VPNやパソコンなどの機器購入費を直接補助する制度ではない |
参考サイト:東京都「テレワークトータルサポート助成金」
デジタル化・AI導入補助金2026のセキュリティ対策推進枠
テレワーク時のセキュリティ対策を強化したい企業は、「デジタル化・AI導入補助金2026」のセキュリティ対策推進枠も確認できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 中小企業・小規模事業者等 |
| 既存導入企業 | すでにテレワークを導入している企業でも、対象となるセキュリティサービスを新たに導入する場合は対象になり得る |
| 制度導入助成 | 補助額5万円〜150万円 |
| 目標達成助成 | なし |
| 賃金要件を満たす場合 | なし |
| 主な目的 | サイバー攻撃による事業継続リスクを低減するためのセキュリティ対策強化 |
| 主な受給要件 | IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載され、IT導入支援事業者によって登録された対象サービスを導入することなど |
| 注意点 | VPNルーターやUTMを購入すれば自動的に補助される制度ではない。対象サービスか事前確認が必要 |
参考サイト:中小企業デジタル化・AI導入支援事業「デジタル化・AI導入補助金」
東京都で確認したい2026年度のテレワーク助成金
テレワークトータルサポート助成金手続きの流れ
東京都内の中堅・中小企業等が2026年度に確認したいのが、東京しごと財団の「テレワークトータルサポート助成金」です。テレワークの導入・定着・促進を目的として、テレワーク環境整備にかかる経費を支援しています。
ここで見落としやすいのが、申請前の手続きです。
- 東京都が実施する「テレワーク相談窓口」を利用
- 「相談窓口利用証」を受け取る
- 導入スケジュールを組む
- 申請する
「パソコンを買ってから助成金を申請しよう」と先に進めるのではなく、制度の流れを確認してから導入スケジュールを組む必要があります。
VPN設定費やパソコン購入費も対象になる
2026年度の制度では、パソコン購入費、消耗品費、業務ソフトウェア購入費、委託費、賃借料、使用料の6科目が助成対象経費として設定されています。
法人ITの観点で特に注目したいのが委託費です。対象になるのは、パソコン設置・設定、タブレット設定、VPN設定の3種類に限定されています。
パソコン設置・設定とタブレット設定は1台につき3万円、VPN設定は1申請につき15万円が助成対象経費の上限です。パソコンについても助成対象経費は1台10万円が上限となっています。
そのため、VPNやパソコンを含むテレワーク環境を整備する会社にとっては、何をどの経費区分で申請するのかを見積もり段階から整理しておくことがポイントになります。
大阪府でテレワークを導入する場合はどこへ相談する?

大阪府内の企業がテレワークを導入する場合は、大阪労働局が案内する国の支援制度を確認できます。大阪労働局では、テレワークを「ICTを活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」と位置づけ、雇用型テレワークの導入支援や助成金などの情報をまとめています。
東京都では、パソコン購入費やVPN設定費などを対象とした「テレワークトータルサポート助成金」がありますが、大阪府でテレワーク関連の支援を探す場合は、東京都と同じ制度がある前提ではなく、国の制度を中心に確認する必要があります。
大阪労働局では助成金・導入支援・事例をまとめて確認できる
大阪労働局では、テレワークを「ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」として、企業向けの支援情報をまとめています。感染症対策だけでなく、災害時の事業継続や、育児・介護と仕事を両立するための働き方としてもテレワークを位置づけています。
また、助成制度として「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」も案内されています。そのほか、大阪におけるテレワークの取組事例、テレワークの適切な導入・実施に関する動画、自営型テレワークに関するセミナーなども掲載されています。
参考サイト:大阪労働局「テレワークの普及促進について」
大阪府の企業も「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」を利用できる
大阪労働局がテレワーク関連の助成制度として案内しているのが、厚生労働省の「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」です。
大阪府内でテレワークを導入する場合は、まず自社が「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」の対象になるかを確認し、テレワーク制度の整備や実施方法を含めて準備を進めます。
テレワーク補助金を利用すると自己負担はいくらになる?
補助率だけでは実際の負担額はわからない
補助金の案内で「補助率2分の1」と書かれていると、100万円の設備なら50万円が補助されると思いがちです。しかし、実際はそれほど単純ではありません。
業者から「半額補助されます」と説明された場合は、総見積額ではなく「補助対象経費はいくらなのか」を確認してください。
| 項目 | 金額例 |
|---|---|
| テレワーク環境の導入総額 | 100万円 |
| 制度上の補助対象経費 | 80万円 |
| 補助率 | 1/2 |
| 補助額 | 40万円 |
| 実際の会社負担 | 60万円 |
保守費・ライセンス費・リース総額まで確認する
もう一つ見落としやすいのが、導入後に発生する費用です。初期導入費が補助されても、毎年のライセンス費や保守費が長期間発生することがあります。
たとえば月額2万円の保守契約なら、5年間で120万円です。初期費用50万円に対して30万円の補助を受けられても、その後の保守費が120万円かかるなら、5年間の支出は別の見え方になります。
補助金を利用する場合ほど「導入時にいくら安くなるか」ではなく、3年・5年使った場合の総支払額を確認してください。
「補助率50%」ではなく、補助対象経費・補助上限・対象外経費・導入後の保守費まで含めた実質負担額で比較します。
補助金を活用して、テレワーク環境を整えませんか?
「どの制度が使える?」「VPNは必要?」という段階からご相談いただけます。
PC・クラウド・セキュリティまで、自社に必要な環境を整理します。
※補助金ありきではなく、必要なIT環境から整理します。
※セカンドオピニオンのご相談も歓迎しています。

補助金を活用してテレワークを進めるなら環境設計から考える

テレワーク向けの補助金・助成金を活用する際は、「VPNは補助対象になるのか」「パソコンはいくらまで申請できるのか」だけで判断せず、まず自社に必要なテレワーク環境を整理することが大切です。
必要な設備は、現在のIT環境や働き方によって変わります。たとえば、自宅から社内サーバーやNASへアクセスする企業では、VPNなど安全な接続環境が必要になる場合があります。一方、業務システムやデータをクラウド上で管理している企業では、VPNを新設せずにテレワーク環境を構築できるケースもあります。
本当に必要な整備の判断基準
導入する機器やサービスを決める前に、まず次の項目を整理しましょう。
- テレワークを行う社員と人数
- 自宅から利用する業務システムやデータ
- 社内サーバーやNASへのアクセスの有無
- 会社支給パソコンの必要台数
- VPNやクラウドサービスの必要性
- ウイルス対策や認証などのセキュリティ対策
- 導入後に発生するライセンス料や保守費用
ここまで整理すると、自社に必要な設備と補助金で申請したい経費を切り分けやすくなります。
特に注意したいのが、「補助対象だから」という理由だけで機器やサービスを追加することです。助成率が2分の1や3分の2であっても、残りは企業の自己負担になります。さらに、導入後の保守費用やライセンス更新料などが助成期間終了後も発生すれば、長期的なコストは増えていきます。
補助対象外だからといって削減するのは危険
反対に、補助対象外だからと必要なセキュリティ対策を削るのも避けたいところです。補助金の対象範囲と、自社が安全にテレワークを続けるために必要なIT環境は分けて判断する必要があります。
専任の情報システム担当者がいない企業では、利用できる制度の確認から、パソコン、VPN、クラウド、セキュリティ、導入後の保守までまとめて整理すると、不要な設備投資を防ぎやすくなります。補助金・助成金は機器を安く購入するためだけではなく、補助終了後も無理なく運用できるテレワーク環境を整えるために活用しましょう。

補助金を使ったテレワーク導入でよくある失敗
「補助金が使えるから」と高額な構成を選ぶ
補助金を利用する際に注意したいのが、補助上限額に合わせて設備を増やしてしまうケースです。50万円の設備で十分な企業が、「100万円まで補助対象になる」という理由で高額な構成を選べば、結果として会社の自己負担も増えます。
特にUTMやネットワーク機器は、性能が上がるほどライセンス料や保守費用も高くなる傾向があります。社員20人の企業に、数百人規模の通信を想定した機器が必要とは限りません。
また、導入時に補助を受けられても、更新料や保守費は翌年度以降も発生します。「補助金がなくてもこの構成を選ぶか」「補助終了後も維持できるか」まで確認して設備を選びましょう。

VPNだけ整備してテレワーク環境が完成したと思ってしまう
VPNは、社外から社内ネットワークへ安全に接続するための仕組みの一つです。そのため、VPNを導入するだけでテレワークのセキュリティ対策が完了するわけではありません。
たとえば、自宅で使用するパソコンのOSやセキュリティソフトが更新されていなければ、VPN接続後に社内ネットワークへ影響が及ぶ可能性があります。パスワードだけで接続できる場合は、多要素認証など認証方法の見直しも必要です。
さらに、VPN機器は導入後もファームウェア更新や設定管理が必要です。誰が管理するのか、トラブル時は誰に連絡するのかまで決め、端末・認証・バックアップ・保守を含めて環境を整えます。

申請を確認する前に発注してしまう
補助金・助成金では、申請だけでなく契約・発注・支払いが可能になる時期まで決められている場合があります。「年度末までに導入したい」「パソコンの納期が長い」と先に発注すると、対象経費として認められない可能性があります。
対象になると思って100万円の設備を購入しても、申請条件を満たしていなければ全額が会社負担です。販売会社から「補助金が使える」と説明されても、それだけで発注を決めないようにします。
契約前に、制度名、対象年度、対象経費、申請期限、交付決定前の発注が可能かを公式資料で確認しましょう。不明点は制度の問い合わせ窓口へ確認し、回答を記録しておくと、申請時の認識違いも防ぎやすくなります。

まとめ|補助金を活用してテレワークを進めるなら環境設計から考える

テレワーク向けの補助金・助成金を活用する際は、「何が補助対象になるか」だけでなく、自社にどのような環境が必要なのかを先に整理することが大切です。
今日からできる3つのこと
- テレワークをする社員と業務を書き出す
→誰が・どこで・どのシステムやデータを使うのかを整理する - 現在のIT環境を確認する
→会社支給パソコンの台数、社内サーバー・NASの有無、VPNやクラウドの利用状況を確認する - 現在のIT環境を確認する
→会社支給パソコンの台数、社内サーバー・NASの有無、VPNやクラウドの利用状況を確認する
専任の情報システム担当者がいない企業では、利用できる制度の確認からVPN、パソコン、クラウド、セキュリティ、導入後の保守まで一度に整理すると判断しやすくなります。補助金は機器を安く購入するためだけではなく、補助終了後も無理なく運用できるテレワーク環境を整えるために活用しましょう。
補助金を活用して、テレワーク環境を整えませんか?
「どの制度が使える?」「VPNは必要?」という段階からご相談いただけます。
PC・クラウド・セキュリティまで、自社に必要な環境を整理します。
※補助金ありきではなく、必要なIT環境から整理します。
※セカンドオピニオンのご相談も歓迎しています。

