光回線の切り替えと一緒にUTMを勧められたら|通信代理店の提案を検証する5つのチェックと断り方

「光回線を速いプランに切り替えましょう。ついでにセキュリティも強化しておきませんか」

通信会社の代理店から、回線とUTM(ネットワークの門番)をセットで勧められる。中小企業では、よくある場面です。

結論:その場でサインしないでください。回線とUTMは本来まったく別の商品です。セットにする必然性はありません。まず「回線は本当に変わるのか」「UTMの型番と総額はいくらか」を書面でもらい、別々に比べてから判断しても遅くありません。

UTMそのものは、中小企業にとって有効な対策の一つです。問題は「買い方」です。この記事では、提案を受けている今この時点で確認すべき5つのポイントと、角を立てない断り方をまとめます。

その提案書、サインする前に見せてください
回線とUTMが一緒になった見積もりは、どこにいくら払うのかが見えにくくなりがちです。提案書や見積書の内訳を、メーカーにも通信会社にも縛られない立場で確認します。

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※しつこい営業電話は一切いたしません。
※妥当な提案であれば「契約して問題ありません」とお伝えします。
目次

今すぐやること:その場で決めない、書面をもらう

提案を受けている最中なら、まず次の3つだけ守ってください。

  • その場で契約書・申込書・タブレットにサインしない(「社内で検討します」で十分)
  • 相手の会社名・担当者名・連絡先を控える(名刺がない場合はメモ)
  • 見積書と提案書を紙かPDFでもらう(口頭の説明だけで終わらせない)

NTT西日本は、自社の販売代理店に対して電話勧誘の際に会社名や担当者名を伝えることと、発信者番号を通知することを義務付けていると案内しています。名乗らない、番号を出さない相手は、その時点で警戒してよい相手です。

なぜ「契約前」が勝負なのか

会社として結ぶ契約は、個人の契約に比べて法律の守りが薄いからです。

  • 総務省のガイドラインでは、法人が事業のために結ぶ通信契約は「法人契約」として、事業者の説明義務などの適用除外とされている
  • 訪問販売のクーリング・オフ(契約後の無条件解約)を定めた特定商取引法も、営業のために結ぶ契約は原則として対象外になる
  • リース契約は、原則として途中解約できない。解約する場合は、残りのリース料かそれに相当する違約金を一括で払う(リース事業協会)

ただし、消費者庁の特定商取引法ガイドでは、事業者名義の契約でも主に個人用・家庭用に使っていた場合や、事業の実態がほとんどない小さな事業者の場合は、法律が適用される可能性があると説明されています。個人事業主の方は、あきらめずに相談してください。

とはいえ、契約後の解約は手間も費用もかかります。確認するなら、サインする前です。

提案を検証する5つのチェック

5つのチェック
Businessman hand and square box with to do list and checklist. Management planning work Concept

チェック1:回線は本当に変わるのか(工事の有無を確認)

「回線を速くする」「新しい回線に切り替える」と言われたら、何がどう変わるのかを書面で確認してください。光回線の切り替えには、工事がいらないものとあるものがあります。

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切り替えの種類工事実際に変わること
転用(フレッツ光 → 光コラボ)新たな工事なし契約先(請求元)が変わる。回線設備は同じ
事業者変更(光コラボ → 別の光コラボ)不要なケースが多い契約先が変わる。回線設備は同じ
10ギガプランへの変更(例:フレッツ 光ネクスト → フレッツ 光クロス)工事として扱われる回線終端装置(光の信号を変換する箱)の設置などを伴う

※出典:NTT西日本「転用とは」、NTT東日本(法人)「光回線は工事不要で利用できる!」、NTT東日本「フレッツ 光クロス 工事費について」準拠

注意したいのは、「契約先が変わっただけ」なのに「回線が新しくなる」「速くなる」と説明されるケースです。転用や事業者変更では、回線そのものは同じです。速度を上げる提案なら、工事日・品目(プラン名)・回線終端装置の交換の有無が書面に書かれているはずです。

当サイトに寄せられた相談でも、回線の増強とUTMを一緒に分割払いで契約したものの、回線の工事が行われた形跡が確認できないというケースがありました。契約後でも、回線の契約先に「品目」と「工事履歴」を直接問い合わせれば確認できます。

チェック2:回線とUTMは「別々の契約・別々の見積もり」になっているか

回線料金とUTMの代金が1つの月額にまとめて表示されていたら要注意です。中身が見えないと、UTMにいくら払っているのか比べられません。

  • 回線の月額と、UTMの代金(または月額)が分けて書かれているか
  • 回線とUTMの契約先(会社名)がそれぞれ書かれているか(回線は通信会社、UTMはリース会社や信販会社、ということが多い)
  • 回線だけを契約し、UTMは断ることができるか

「セットでないとこの値段にならない」と言われたら、回線だけの見積もりも出してもらってください。差額がそのままUTMの実質的な値段です。

チェック3:分割払いの「回数」と「総額」はいくらか

月額だけを見ると安く感じても、回数を掛けると大きな金額になります。必ず「月額 × 回数 = 総額」を自分で計算してください。

ありがちな例(想定例):「月々1万円台で最新のセキュリティが入ります」と説明され、よく見ると支払いは7年近い分割。総額は100万円を大きく超えていた、というパターンです。

比較の物差しとして、FortiGate-50Gをライセンス込みの「バンドル版」で5年間使った場合を、販売店の掲載価格で単純計算すると約82万円(税込)です(2026年10月時点のFGShop掲載価格。設置・設定費は含まない)。条件が違うため単純比較はできませんが、総額がこの水準を大きく上回る場合は、内訳の説明を求める価値があります。

  • 支払いはリースか割賦(分割払い)か、契約書の名前を確認する
  • 支払い回数がUTMのライセンス年数・サポート期限より長くないか(機器が使えなくなった後も支払いだけ続く)
  • 途中でやめる場合、いくら払うことになるかを書面で確認する

価格改定後のFortiGateの相場はFortiGateの値上げ(2026年)と見積もりへの影響、機種ごとの相場は【「FortiGateの価格相場と導入費用の全体像」の記事】で確認できます。一括とリースの違いは【「UTMは一括かリースか」の記事】をご覧ください。

チェック4:UTMのメーカー名・型番・ライセンス内容が書かれているか

提案書に「UTM一式」「セキュリティ機器」としか書かれていない場合は、必ず次の項目を書面で出してもらってください。これがないと、相場と比べることができません。

  • メーカー名と型番(例:FortiGate-50G)
  • ライセンスの内容と年数(ウイルス対策・不正侵入防御・Webフィルタなど、何が何年分か)
  • 保守の内容(故障時の交換、設定変更の対応、問い合わせ窓口)
  • ライセンスが切れた後の更新費用

型番を出したがらない、または聞いたことのないメーカーの機器を相場より大幅に高く売るケースもあります。手口と対処法は【「UTM導入で騙された!悪質業者の手口と対処法」の記事】で詳しく解説しています。

チェック5:UTMの性能は、新しい回線に見合っているか

見落とされがちなのが、回線とUTMの「速さのつり合い」です。UTMは、すべての通信を検査してから社内に通します。UTMの処理能力が回線より低ければ、回線を速くしても、UTMのところで頭打ちになります。

たとえばFortiGate-50Gの場合、ウイルス対策などの機能をすべて有効にしたときの処理能力(脅威保護スループット)は、メーカー公表値で1.1Gbpsです。10ギガの回線に変える提案と一緒にこのクラスのUTMを勧められたら、「10ギガの速さは社内まで届くのか」を質問してみてください。

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FortiGate-50Gの指標公表値意味(社長の言葉で)
脅威保護スループット(Threat Protection)1.1Gbpsウイルス対策・不正侵入防御などを全部ONにしたときの実際の速さ
ファイアウォールスループット(1518バイト)5Gbps検査をほぼせずに通したときの最大の速さ。カタログで目立つが、実際の使い方とは違う

※出典:Fortinet「FortiGate/FortiWiFi 50G Series Data Sheet」(2024年12月10日版)準拠。脅威保護スループットは、ファイアウォール・IPS・アプリケーション制御・マルウェア対策を有効にした状態で測定

あわせて、誰がUTMを設定し、誰が保守するのかも確認してください。回線の代理店はUTMを売るだけで、設定や故障対応は別の会社、ということもあります。

5つのチェック、自社だけで判断できますか?
型番の相場、分割の総額、回線とのつり合い。どれも専門知識がないと判断しにくい項目です。お手元の提案書をもとに、5つのポイントを第三者の目で確認します。

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※しつこい営業電話は一切いたしません。
※当社での購入を前提にした診断ではありません。

角を立てない断り方

断るときは、相手を否定せず「手続き」を理由にするのがコツです。次のような言い方なら、どんな相手にも使えます。

  • 「回線とセキュリティ機器は、社内で別々に検討するルールになっています」
  • 「型番入りの見積書をいただけますか。他社と比べてから返事します」
  • 「契約はすべて社長(または経理)の確認後になります。今日はサインできません」
  • 「回線の切り替えだけでしたら、回線だけの見積もりをお願いします」

それでも「今日中に決めないと割引が終わる」と急かされる場合は、その割引を書面でもらうよう伝えてください。本当に有利な条件なら、書面で出せるはずです。

対策:UTMが必要な場合・不要な場合

UTMが必要な場合・不要な場合
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UTMを前向きに検討してよい会社今回の提案では見送ってよい会社
社員が複数いて、社内のパソコンや共有ファイルをネットワークでつないでいる回線の話のついでに勧められただけで、自社の困りごとと結びついていない
取引先からセキュリティ対策の状況を聞かれている型番・総額・保守内容が書面で出てこない
今のUTMのサポート期限が近い今のUTMがまだ使える期間内にある

※出典:本記事で引用した各機関の情報に基づく当サイトの整理

UTMが必要だと判断した場合も、回線の代理店から買う必要はありません。回線は回線、UTMはUTMで、それぞれ相見積もりを取るのが基本です。すでにUTMをリースで使っていて満了が近い場合は、【「UTMのリース満了・再リースで損していませんか?」の記事】も参考になります。

すでに契約してしまった場合は、契約書・申込書の控え、見積書、相手の連絡先をそろえて、早めに相談してください。消費者ホットライン「188」に電話すると、最寄りの消費生活センターなどにつながります。

よくある質問(FAQ)

Q. 光回線の営業で、UTMも必要だと言われました。本当に必要ですか?

UTMは中小企業にとって有効な対策の一つですが、光回線の切り替えとは別の話です。回線を変えたからUTMが必要になる、ということはありません。社員数や社内のネットワークの使い方、取引先からの要望などをもとに、回線とは切り離して検討してください。

Q. 回線とUTMをセットにすると安くなると言われました。

回線だけの見積もりも出してもらい、差額を確認してください。その差額が、実質的にUTMに払う金額です。あわせてUTMのメーカー名と型番、ライセンスの年数を書面でもらえば、相場と比べることができます。

Q. 契約してしまった後でも、クーリング・オフはできますか?

営業のために結んだ契約は、特定商取引法のクーリング・オフの対象外になるのが原則です。ただし消費者庁のガイドでは、事業者名義でも主に個人用・家庭用だった場合や、事業の実態がほとんどない小さな事業者の場合は、法律が適用される可能性があると説明されています。契約書類をそろえて、早めに消費者ホットライン188や弁護士に相談してください。

Q. リース契約は途中で解約できますか?

リース事業協会の説明では、リース期間中の解約は原則としてできず、解約する場合は残りのリース料かそれに相当する違約金を一括で支払うとされています。契約前に、支払い回数がUTMのライセンス年数やサポート期限より長くないかを確認してください。

Q. 提案を断るとき、何と言えばよいですか?

回線とセキュリティ機器は社内で別々に検討するルールになっている、型番入りの見積書をもらって他社と比べてから返事する、と伝えるのが角の立たない方法です。今日中に決めないと割引が終わると言われた場合は、その条件を書面でもらうよう伝えてください。

まとめ

覚えておくべきことは3つです。

  • 回線とUTMは別の商品。セットで勧められても、その場でサインせず、別々の見積もりをもらう
  • 5つのチェック:回線は本当に変わるか(工事)/別々の契約か/分割の総額/型番とライセンス/回線とUTMの速さのつり合い
  • 法人の契約は守りが薄い。リースは原則途中解約できないため、確認は契約前に

すでに契約してしまった方は、【「UTM導入で騙された!悪質業者の手口と対処法」の記事】もあわせてご覧ください。

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この記事を書いた人

株式会社STACK(経済産業省「DX認定事業者」)が運営する編集部です。大手OA機器会社出身のメンバーを中心に、中小企業のIT領域をトータルで支援。UTM・法人Wi-Fi・NAS・VPNの選定から設置施工・保守まで自社で手がけており、カタログ値ではなく現場で確かめた内容をもとに執筆・監修しています。運営会社・監修体制/評価基準ポリシー

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