「10ギガの光回線にしたら、ルーターやUTMも替えないといけないのか」
「業者から数百万円の見積もりが来たが、本当にそこまで必要なのか」
10ギガ回線への切り替えで、いちばん迷うのがここです。
この記事では、よく候補に挙がるヤマハRTX1300・バッファローVR-U500X・FortiGate 90G/120Gを、メーカー公式の数字で比べます。どんな会社にどれが合うかの判断の流れまで整理しました。
※10ギガ化が不要な場合は、その旨を正直にお伝えします。
10ギガ回線で「替える必要がある機器」は3か所
NTT西日本は「フレッツ 光クロス」(10ギガ回線)の利用条件として、10Gbpsに対応した環境(10GBASE-T対応のLANケーブルやパソコンなど)が必要と案内しています。さらに、規格上の速いプランに変えても、端末やLANケーブルなどの環境によって速度が上がらない場合があるとも明記しています。
水道に例えると、本管(回線)を太くしても、蛇口(パソコン)や途中の配管(ルーター・スイッチ)が細ければ、出る水の量は増えません。替える必要があるのは次の3か所です。
| 場所 | 機器 | 10ギガ対応にしないとどうなるか |
|---|---|---|
| ① 回線の入口 | ルーター/UTM(ネットワークの門番) | 入口のポートが1ギガなら、会社全体が1ギガで頭打ち。最優先で確認する場所 |
| ② 社内の配管 | スイッチ(LANを分岐させる機器)・LANケーブル | 10ギガの速さを使うにはカテゴリー6a以上のケーブルが必要(NTT西日本の案内) |
| ③ 蛇口 | パソコン・サーバー・NAS | 多くのパソコンのLANポートは1ギガ。1台で10ギガの速さが出るわけではない |
※出典:NTT西日本「フレッツ 光クロス ご利用時の留意事項」準拠
「10ギガにしたのに遅い」というトラブルの原因の見つけ方は、10ギガ回線なのにネットが遅い原因と見つけ方で解説しています。
3機種の正体:「ルーター」と「UTM」は役割が違う

比べる前に、3機種の役割の違いを押さえてください。ここを混同すると、見積もりの比較ができません。
- ヤマハ RTX1300:VPNルーター(通信の交通整理と拠点間の専用通路)。ファイアウォールなどの基本機能はあるが、ウイルス検査などをまとめて行うUTMではない
- バッファロー VR-U500X:VPNルーター+簡易UTM。別売りの「UTM拡張ライセンスパック」でWebフィルタ・アプリ制御・不正侵入防御(IDS/IPS)などが使える
- FortiGate 90G/120G:UTM。ウイルス対策・不正侵入防御などを1台で行う(機能は年単位のライセンス)
公式スペックで比較:10ギガのポートと「実際の速さ」
各社は速さの測り方が違うため、同じ物差しでは並べられません。表の「セキュリティ検査時の速さ」の行が、実際の使い方に近い数字です。
| 項目 | RTX1300 | VR-U500X | FortiGate 90G | FortiGate 120G |
|---|---|---|---|---|
| 種類 | VPNルーター | VPNルーター+簡易UTM | UTM | UTM |
| 10ギガ対応ポート | 2(10GBASE-T/SFP+コンボ、LAN・WANに割り当て可) | 2(10GBASE-T:WAN 1・LAN 1) | 2(10GE RJ45/SFP+共用) | 4(10GE SFP+) |
| 1ギガのポート | 8 | 4 | 8 | 16(ほか管理用・HA用)+SFP 8 |
| 最大スループット(メーカー公表) | 9.9Gbit/s(NATなし・フィルターなし) | 公表なし【要確認】 | 28Gbps(ファイアウォールのみ・1518バイト) | 39Gbps(ファイアウォールのみ・1518バイト) |
| セキュリティ検査時の速さ | UTM機能なし(検査はしない) | 公表なし。UTM有効時に約25%低下とメーカーが説明 | 2.2Gbps(脅威保護スループット) | 2.8Gbps(脅威保護スループット) |
| 拠点間VPN(IPsec) | 3.8Gbit/s/対地数100(拡張で最大1,100) | 対地数30(リモートアクセスとの合計) | 25Gbps(512バイト) | 35Gbps(512バイト) |
| 冷却ファン | 2基 | 記載なし | ― | ― |
※出典:ヤマハ「RTX1300 仕様」、バッファロー「VR-U500X」製品ページ、Fortinet「FortiGate/FortiWiFi 90G Series Data Sheet」(2025年5月7日版)・「FortiGate 120G Series Data Sheet」(2025年11月27日版)準拠。Fortinetの脅威保護スループットは、ファイアウォール・IPS・アプリケーション制御・マルウェア対策を有効にした状態の値。ヤマハの最大スループットはRFC2544準拠(NATなし・フィルターなし)の値で、Fortinetの指標とは測定条件が異なる
ここで分かる、いちばん大事なこと
FortiGateの「最大28Gbps」「最大39Gbps」は、検査をほぼせずに通した場合の数字です。ウイルス対策などを全部ONにすると、90Gで2.2Gbps、120Gで2.8Gbpsになります。
つまり、10ギガ回線+UTMという構成では、UTMのところで2〜3Gbps程度に絞られるのが現実です。これは機種の欠点ではなく、「全部の通信を検査する」ことの重さです。それでも、今の1ギガより2倍以上の余裕があり、大勢が同時に使う会社には十分な効果があります。
価格:本体と5年間の総額の目安

| 機種 | 本体価格 | セキュリティ機能の費用 | 5年間の単純試算(設置・設定費別) |
|---|---|---|---|
| RTX1300 | 希望小売価格 295,900円(税込) | UTM機能なし(必要なら別途UTM) | ―(UTMを別に用意する場合はその費用が加わる) |
| VR-U500X | 希望小売価格 60,280円または79,200円(税込)【要確認】/実勢 約58,000〜79,000円 | UTM拡張ライセンスパック 21,780円(税込)/1年間〜 | 【要確認:複数年ライセンスの価格】 |
| FortiGate 90G | 737,990円(税込・初年度保守込み) | バンドル版(ライセンス込み1年)1,033,538円、次年度以降 452,771円/年 | 約284万円(バンドル版1年目+次年度更新×4年) |
| FortiGate 120G | 1,067,022円(税込・初年度保守込み) | バンドル版(ライセンス込み1年)1,452,847円、次年度以降 941,303円/年 | 約522万円(同上) |
※出典:ヤマハ「RTX1300 仕様」、バッファロー各カタログ、価格.com(VR-U500X実勢価格・2026年10月時点)、FGShop「FortiGate価格一覧」(2026年10月24日時点の掲載価格・税込、キャンペーン価格を除く)準拠。FortiGateの5年試算は掲載価格の単純計算で、今後の価格改定で変わる可能性あり
10ギガ化をきっかけにFortiGate 120Gクラスを提案されると、5年で500万円を超える構成になります。社員数や拠点数に対して本当にこのクラスが必要か、必ず確認してください。FortiGateの価格は2026年に複数回改定されています(FortiGateの値上げと見積もりへの影響)。
選び方の判断フロー
ステップ1:今の不満は「回線の速さ」が原因か
「遅い」の原因がWi-Fiやパソコン、古いUTMにある場合、回線を10ギガにしても解決しません。まず原因を切り分けてから機種を選んでください。
ステップ2:UTMをどう持つか
- UTMを1台にまとめたい・費用を抑えたい → VR-U500X(ただし速さの公表値がないため、導入前の確認が必要)
- ルーターはヤマハで運用し、UTMは別に持つ → RTX1300+UTM(UTM側の検査速度が新しい詰まりにならないか確認)
- 入口でしっかり検査したい・UTMを入れ替える時期 → FortiGate 90G または 120G
ステップ3:規模と拠点数で絞る
| 会社の状況 | 向いている構成 |
|---|---|
| 事務所1か所・社員20名前後まで・費用重視 | VR-U500X(10ギガWAN 1・LAN 1。VPN対地数30) |
| 拠点が多い・VPNを数十本以上張る | RTX1300(VPN対地数100、拡張で最大1,100)+UTM |
| 社員数十名・1拠点で、検査しながら速さも欲しい | FortiGate 90G(脅威保護2.2Gbps・10ギガポート2) |
| ポート数が多く必要・サーバーやNASも10ギガでつなぐ中規模 | FortiGate 120G(脅威保護2.8Gbps・10ギガポート4) |
※出典:本記事の比較表(各メーカー公式仕様)に基づく当サイトの整理
RTX1300と小規模向けのRTX840の違いは、RTX840レビュー|RTX1300との違いで比べています。各機種の詳しいスペックと価格は、製品DBのRTX1300・VR-U500X・FortiGate 90G・FortiGate 120Gの各ページをご覧ください。
見積もりで確認すべきこと
- 入口の機器だけでなく、スイッチ・LANケーブルの交換が見積もりに入っているか(入っていなければ、社内で1ギガに戻る)
- UTMの脅威保護スループット(全機能ONの速さ)が提案書に書かれているか
- 10ギガ化と一緒に、必要以上に上位のUTMや長期リースが組まれていないか
- 回線の切り替えとUTMが1つの月額にまとめられていないか
回線の切り替えとUTMをセットで勧められている場合は、光回線の切り替えと一緒にUTMを勧められたときの5つのチェックも確認してください。
※メーカーに縛られない立場で、下位の機種で足りる場合はそうお伝えします。
よくある質問(FAQ)
Q. 10ギガ回線にしたら、ルーターやUTMも必ず替える必要がありますか?
今のルーターやUTMの回線側のポートが1ギガであれば、会社全体の速さは1ギガで頭打ちになります。10ギガ回線の余裕を活かすには、回線の入口の機器を10ギガ対応にする必要があります。あわせて、社内のスイッチやLANケーブルも10ギガに対応しているか確認してください。
Q. RTX1300だけでセキュリティ対策になりますか?
RTX1300はVPNルーターで、ファイアウォールなどの基本機能はありますが、ウイルス検査などをまとめて行うUTMではありません。UTMの機能が必要な場合は、RTX1300とは別にUTMを用意します。その場合、UTMの検査速度が新しい詰まりにならないかも確認してください。
Q. FortiGate 90Gと120Gの違いは何ですか?
メーカー公表の脅威保護スループットは、90Gが2.2Gbps、120Gが2.8Gbpsです。10ギガ対応ポートは90Gが2つ、120Gが4つで、120Gは1ギガのポートも多く備えています。サーバーやNASも10ギガでつなぎたい、ポート数が多く必要という場合は120G、それ以外は90Gが候補になります。
Q. VR-U500Xで10ギガの速さは出ますか?
VR-U500Xは回線側とLAN側に10ギガ対応ポートを1つずつ備えていますが、メーカーはスループットの数値を公表していません。UTM機能を有効にした場合は、速さが約25パーセント低下するとメーカーが説明しています。速さを重視する場合は、導入前に実際の環境で確認することをおすすめします。
Q. 10ギガ回線にすれば、Web会議のカクつきは直りますか?
原因によります。回線の混雑が原因なら改善が期待できますが、Wi-Fiの電波、パソコンの性能、古いUTMの処理能力などが原因の場合は、回線を替えても直りません。まず原因を切り分けてから、替える機器を決めてください。
まとめ
覚えておくべきことは3つです。
- 10ギガ化で替えるのは「入口・配管・蛇口」の3か所。最優先は回線の入口のルーター/UTM
- 10ギガを全部検査できるUTMは中小向けにはない。FortiGateは全機能ONで90Gが2.2Gbps、120Gが2.8Gbps。「回線の速さ」と「検査できる速さ」を分けて考える
- 120Gクラスは5年で500万円を超える。会社の規模に対して過剰な構成になっていないか、見積もりで確認する
10ギガにしたのに遅いと感じている方は、10ギガ回線なのにネットが遅い原因と見つけ方もあわせてお読みください。
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