「うちは大企業ではないから、そこまで厳しい管理は必要ない」
「顧客名簿は社内のNASに保存しているから大丈夫」
「以前UTMを導入したので、セキュリティ対策は済んでいる」。
こうした認識のまま、何年も同じ機器や設定を使い続けていないでしょうか。
実は、個人情報保護法は中小企業も対象です。顧客名簿をExcelで管理する小規模事業者でも、個人情報の取り扱いに応じた安全管理措置が求められます。
今回の2026年改正は、すべての企業に新しいUTMやNASの購入を義務付けるものではありません。しかし、個人情報の不正取得や不適正な利用に対する規律が見直される今、古い機器や管理体制を放置してよい理由もありません。
この記事では、2026年改正個人情報保護法の最新情報をもとに、中小企業が対応すべき内容と、UTM・VPN・NASの買い替え判断、導入費用、保守契約の見直し方を解説します。法改正を、自社の情報管理をハードウェアから点検するきっかけにしてください。
個人情報保護法への対応、今のIT環境で大丈夫ですか?
顧客名簿の管理方法からUTM・VPN・NASの安全性、保守費用まで。
必要な対策・不要な機器・見積もりの妥当性を専門家に相談できます。
※現在の機器構成や保守契約についてのご相談も承ります。
※機器の一式交換を前提とせず、必要な対策を整理します。
【2026年最新】個人情報保護法改正で中小企業は何が変わった?

2026年7月に改正法が成立・公布|現在は施行に向けた準備段階
2026年7月に改正個人情報保護法が成立・公布され、企業には今後の施行を見据えた準備が求められています。
今回の改正を理由に、すぐに高額なセキュリティ機器を導入する必要があるとは限りません。まずは現行法への対応状況を確認し、今後の施行に備えて管理体制の不足を洗い出すことが先です。
参考サイト:個人情報保護委員会「令和8年 改正個人情報保護法について」
不正取得・不正提供への規律が見直され、課徴金制度も導入される
今回の改正では、個人情報の不正取得や不正提供に対する規律が見直されます。特に、顧客情報を外部委託先と共有している企業では、データの取り扱い方法を確認する必要があります。
- 個人情報データベース等の不正提供に対する罰則が強化される
- 詐欺行為等による個人情報の不正取得に対する罰則が新設される
- 大量の個人情報を扱う悪質な違反行為には、一定の要件で課徴金制度が適用される
- 営業代行会社やシステム保守会社など、外部委託先のアクセス権限や契約内容を確認する必要がある
- 顧客情報の不正取得や無断持ち出しを防ぐため、既存システムの設定を点検する
漏えい時の報告義務は既に存在|2026年改正との違いに注意
個人データの漏えい等に関する報告義務は、2026年改正で新設されたものではありません。2022年4月から一定の漏えい等について報告・本人通知が義務化されており、中小企業も対象となります。
- 報告対象は、要配慮個人情報、財産的被害のおそれ、不正目的による漏えい等、1,000人を超える漏えい等
- 実際の流出が確定していなくても、漏えい等のおそれがある場合は報告対象になり得る
- 速報は概ね3〜5日以内、確報は原則30日以内に行う
- 不正目的による漏えい等では、確報の期限が60日以内となる
漏えい事故が発生してからログの保存方法や報告先を調べ始めると、初動対応が遅れる原因になります。報告期限に対応できるよう、ログの保存状況、保守業者の調査範囲、社内の連絡体制を事前に確認しておく必要があります。
法改正を機にUTM・VPN・NASを見直すべき理由
古いVPN機器は顧客名簿への侵入口になる可能性がある
VPN機器は社外から社内ネットワークへ接続する入口です。古い機器には次のリスクがあります。
- サポート終了: 脆弱性を修正できない
- 不正アクセス: 認証情報の悪用による顧客情報の流出
正常に通信できていても安全とは限りません。更新状況を確認し、必要に応じて交換してください。

NASの老朽化は情報漏えいと業務停止の両方につながる
顧客名簿を保存するNASは、設定不備や老朽化によって被害が拡大するおそれがあります。
- 外部公開: 脆弱性を悪用される危険
- 権限不備: 不要な社員まで顧客情報を閲覧できる
本体交換だけでなく、アクセス権限やバックアップの復元体制も確認してください。

UTMを導入済みでも5年前の構成が現在も適正とは限らない
UTMは導入済みでも、業務環境の変化によって設定や性能が合わなくなる場合があります。
- 通信環境: クラウド・在宅勤務の増加
- ライセンス: 期限切れによる保護機能の停止

法改正を理由に一式交換する必要はありません。 サポート状況と利用環境を確認し、必要な機器だけを更新してください。
顧客名簿の管理方法を再点検|Excel・NAS・クラウドの落とし穴

Excelの顧客名簿はコピーと持ち出しを制限できているか
Excel管理自体は違法ではありません。
問題は、保存場所やアクセス権限が適切に管理されているかです。
- 無断コピー: 社員の個人PCに保存すると、退職時のデータ回収が困難になる
- メール誤送信: 添付ファイルによる顧客情報の流出リスクがある
- 権限管理: 保存場所を統一し、閲覧・編集・複製できる社員を制限する
- システム移行: 複数部署で更新する場合は、操作履歴を管理できるCRMも選択肢になる
高額なUTMを導入する前に、顧客名簿の保存場所と持ち出しルールを見直してください。
NASとクラウドのどちらが安全かは運用方法で変わる
顧客名簿の保存先を選ぶ際、「社内NASなら安全」「クラウドなら情報漏えいしにくい」と判断するのは危険です。どちらも設定や管理方法によってリスクが異なるため、自社の運用体制に合わせた選択が必要です。
| 比較項目 | NAS | クラウド |
|---|---|---|
| 主なリスク | 機器の老朽化・不正アクセス | 共有設定ミス・アカウント乗っ取り |
| 管理負担 | 更新・故障対応・バックアップ | アカウント・アクセス権限 |
| 費用 | 本体・設定・保守費 | 月額利用料・追加機能費 |
| 向いている企業 | 大容量データを社内で扱う企業 | 外出先からの利用が多い企業 |
特に注意したいのは、NASは保守業者任せ、クラウドは導入後の設定を放置しているケースです。NASは更新やバックアップが不十分だと、ランサムウェア感染時に業務が停止するおそれがあります。

漏えい事故に備えてアクセスログを確認できる状態にする
情報漏えい時は、いつ、誰が、どの情報へアクセスしたかを調査できる状態が必要です。
- VPNログ: 接続日時や利用アカウントを確認できるか
- NASログ: 顧客名簿へのアクセス履歴を追跡できるか
- 保存期間: 調査に必要な期間のログが残る設定か
- 保守契約: 障害・漏えい発生時のログ調査が対応範囲に含まれるか
ログを保存していても、確認できる担当者がいなければ調査が遅れます。機器の更新時には、ログの取得・保存・調査体制まで確認してください。

UTM・VPN・NASの買い替え費用はいくら?見積もりとリース総額を比較
本体価格だけでなく設定費・ライセンス費を含めて比較する
法改正を理由にUTM・VPN・NASの一式交換を提案されても、すべて更新する必要があるとは限りません。機器ごとのサポート期限や設定状況を確認し、必要なものから更新します。
| 費用項目 | 概算予算例 |
|---|---|
| UTM本体 | 10万〜50万円 |
| VPNルーター | 3万〜20万円 |
| NAS本体 | 5万〜30万円 |
| 初期設定費 | 3万〜15万円 |
| VPN設定費 | 2万〜10万円 |
| 年間ライセンス費 | 5万〜20万円 |
| 年間保守費 | 3万〜15万円 |
※比較用の参考予算であり、実勢価格を保証するものではありません。
本体の実勢価格だけでなく、設定・保守・ライセンスを含む導入総額を確認してください。

リース契約は月額料金ではなく5〜6年間の総額で判断する
リースは初期負担を抑えられますが、月額料金だけでは割高か判断できません。
| 比較項目 | 購入 | 月額契約 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 30万円 | 契約条件による |
| 月額換算 | 1.5万円 | 2万円 |
| 5年間総額 | 90万円 | 120万円 |
※購入は年間保守・ライセンス費12万円を含む仮定例です。
- 契約期間: 60〜72か月の総支払額を確認
- 解約条件: 中途解約の可否や精算条件を確認
- 保守内容: 機器交換や現地対応の有無を比較
リース総額と購入・運用総額を同条件で比較することが必要です。

保守契約はVPN障害や情報漏えい時に何をしてくれるかで判断する
保守契約は、料金よりも障害時の対応範囲が判断材料になります。
- 機器故障: 交換・代替機の提供が含まれるか
- VPN障害: 原因調査や設定復旧に対応するか
- 情報漏えい: ログ調査や被害範囲の特定は別契約か
- 対応時間: 24時間保守が業務上必要か
保守費が安くても、復旧作業が別料金なら費用が膨らみます。業務停止時に必要な支援を明確にし、過剰な保守契約を避けてください。

2026年の法改正をきっかけに、今から進めたい点検項目チェックリスト

まずは現在の機器が安全に使えるかを確認する
法改正への対応として、すぐに新しい機器を購入する必要はありません。
まずはUTM・VPN・NAS・Wi-Fi機器の利用状況を整理し、安全に使い続けられるか確認します。
- 型番・導入時期: 使用中の機器と設置年を把握する
- サポート期限: メーカーの更新・修理対応が終了していないか
- 脆弱性対策: ファームウェアが更新されているか
- ライセンス: セキュリティ機能の契約が有効か
- 継続利用: 設定変更で安全性を確保できるか
点検後は、機器を「交換・設定変更・継続利用」に分類してください。一式交換ではなく、リスクの高い機器から対応することで不要な費用を抑えられます。
社員数と業務内容に合わせて必要な構成を選び直す
セキュリティ機器は、社員数だけで選ぶと過剰スペックになる可能性があります。業務内容や通信環境に合わせて必要な構成を判断します。
| 確認項目 | 判断ポイント |
|---|---|
| 社員数・拠点数 | 同時接続数・通信量 |
| VPN利用 | 在宅勤務・拠点間接続の有無 |
| 社内サーバー | NAS・業務システムの利用状況 |
| クラウド利用 | 多要素認証・端末管理 |
| 今後の増員 | 必要な拡張性 |
例えば、クラウド中心の企業では、高性能なUTMよりもアカウント管理を優先する場合があります。業者には現在の業務環境を伝え、本体価格・ライセンス費・保守費を含めて比較してください。

法改正への対応と機器更新を同時に進めると無駄な費用を減らせる
法改正への対応は、既存の保守契約やネットワーク構成を見直す機会にもなります。
特に長年同じ業者へ管理を任せている企業では、現在の業務に合わない構成が残っている場合があります。
- 不要な機器: クラウド移行後も使っていないVPN・UTM機能がないか
- 保守契約: 現在の業務に不要なサービスが含まれていないか
- 設定情報: 構成図・管理者権限・設定バックアップを保有しているか
- 調査費用: 法令対応と機器点検をまとめ、作業の重複を防げるか

まとめ|個人情報保護法改正を機に自社のセキュリティ体制を見直そう

2026年の個人情報保護法改正は、中小企業にとって顧客情報の管理体制を見直す機会です。法改正への対応として、必ずしも高額なセキュリティ機器を導入する必要はありません。
特に、顧客名簿をExcelで管理している企業や、古いVPNルーター・NASを使い続けている企業では、情報漏えいや業務停止につながるリスクがないか確認が必要です。
また、UTMを導入済みでも、ライセンスの失効や設定の放置によって十分な保護機能を維持できていない場合があります。機器の更新時には、本体価格だけでなく、設定費・保守費・ライセンス費・リース総額を比較し、自社に必要な構成を選ぶことが大切です。
明日から試せる一歩
- 機器の状態を確認する: UTM・VPN・NASの型番、サポート期限、ライセンスの有効期限を一覧にする
- 顧客名簿の管理を点検する: Excelやクラウドの保存場所、共有範囲、退職者のアクセス権限を確認する
- 保守契約と費用を見直す: 障害時の対応範囲を確認し、不要な機能や過剰な保守費がないか調べる
まずは現在の環境を把握し、設定変更で対応できるものと、買い替えが必要なものを分けることから始めてください。 無駄なIT投資を抑えながら、顧客情報を守る体制づくりにつながります。
個人情報保護法への対応、今のIT環境で大丈夫ですか?
顧客名簿の管理方法からUTM・VPN・NASの安全性、保守費用まで。
必要な対策・不要な機器・見積もりの妥当性を専門家に相談できます。
※現在の機器構成や保守契約についてのご相談も承ります。
※機器の一式交換を前提とせず、必要な対策を整理します。

